兵庫県中学校技術・家庭科研究会

研究実践のあゆみ

最終更新 6月1日

1.はじめに
 私たちが取り組んでいる実践研究は、本県の技術・家庭科の根底をなす教育理念に基づいている。 それは、
ア.どの生徒にも学習を成立させること。
イ.どの生徒にも良さがありそれを引き出し、伸ばすこと。
ウ.生徒が心の底から学習のよろこぴを感じ、やる気を示すよう、質の高い主体的学習を展開すること。
等を実現させようということである。
 具体的な授業の手だてとしては、教師の進める学習の組織化・最適化から出発して、学習の主体者である生徒の学び方、学びとる力の育成へと高まり、さらに、生徒達が学習の本質にせまる質の高い主体的学習を実証する段階へと推し進めてきた。このような考え方とその実証は、昭和40年頃から着手し、今なお受け縦がれ、研究のあゆみの中に深く浸透している。



2.研究のあゆみ

 昭和41年度は、指導内容の精選が急務となり全領域にわたり基準案を作成した。

 昭和42年度は、「どのように教えるか」に取り組み、教材の構造化をはかり、実技を通して「知る」「考える」「行う」の学習活動により、覚える学習から考える学習へ、学習の主体を教師から生徒へと授業改造を進めた。

 昭和43年〜44年度は、学習の構造化とプログラム化、ステップごとの点検(評価)、客観的な到達度測定、観点別評価と総合評価、評価含みの学習指導について実践研究を行った。

 昭和45年〜46年度は、「学習の組織化」に取り組み、「チェックとフイードバック、予備テスト、診断テスト」を導入し、学習の理解を高め定着化を図った。昭和46年度は、第10回近畿中学校技術・家庭科研究大会を西宮市で開催した。学習の最適化をめざし、研究主題「新学習指導要領に基づく効果的な指導計画と学習の現代化」で発表した。

 昭和48年〜51年は、「学習の最適化を求めて」研究実践し、本物の生徒主体の学習を目指した。
 教師の変容、生徒の学習意識の改造、やる気のおこる環境づくりにつとめ、特に昭和49年度は、発想の転換の年になった。

 昭和52年度は、第16回全日本中学校技術・家庭科研究大会を県下8地区12分科会場で開催した。
 研究主題「学びとる力を高める学習を通して創造的能力と実践的態度を育成する」これは、過去十数年にわたる研究実践の中から生み出された教育理念に基づく実践成果の発表の機会となり、従来の教師主導の下請方式の学習から生徒主体の学習へ、課題探究・発見・創造の学習方式への改革であった。

 昭和53〜54年度は、全国大会の成果と反省から基礎学力の定着・学びとる力の伸長と創造性の育成に一層努力を傾注し、新学習指導要領への移行について研究を進めた。

 昭和55〜57年度は、新学習指導要領実施に関する研究により、各領域の要素分析・相互乗り入れについての学習指導・題材・学習形態等、実践例を基に研究を進めた。昭和57年度は、「県版ハンドブック」を完成し、さらに「技術・家庭科基礎基本的事項」の冊子を編集し、各校に配布した。
 「基礎・基本」の定着を図る実証的な授業研究を推進した。

 昭和58年度は、第22回近畿中学校技術・家庭科研究大会を姫路市を中心に3地区6分科会場で開催した。研究主題「豊かな人間性の育成をめざして、創造的能力と実践的態度を養う指導はどうあるべきか」であった。基礎学力の定着と学びとる力の育成を主眼に、研究主題にせまる主体的学習実践の成果を発表した。

 昭和59〜60年度は、永年にわたり研究を重ねてきたテーマを基に、「基礎学力の定着と学びとるカの育成により、創造的能力と実践的態度を養う指導の研究」を研究主題に実践研究に取り組んだ。
 近畿大会後、教材・教具の開発を通して、より分かりやすい授業づくりの研究にふみだした。この2年間は、教材・教具の開発につとめた。
 昭和59年度は神戸市立西代中学校、昭和60年度は西宮市立深津中学校で県大会を開き、それぞれ約500名の参加者を得て、研究発表、研究交流を深めて、多くの収穫を得た。

 昭和61年度は、県大会を津名郡一宮中学校を会場に開催した。研究主題を、前年の研究をひきつぎ、サブテーマを「生徒が意欲的にとりくめる教材・教具の開発と効果的な指導の在り方」とし、新しい教材・教具を用いての指導法の研究、意欲的に学ぶ生徒の育成に取り組んだ。又、昭和57年度に作成した「県版ハンドブック」の改訂をし、さらに使いやすいものとした。

 昭和62年度は、相生市立双葉中学校で県大会をもった。昭和59〜60年度の研究をひきつぎ、研究主題「基礎学力の定着と学びとるカの育成により、創造的能力と実践的態度を養う指導の研究」、サブテーマは「教材・教具を活用し、意欲的にとりくむ生徒の育成をめざす」に決定した.そして、新しい教材・教具を用いての研究、意欲的に学ぶ生徒の育成、教師の指導法、指導技術の改善に取り組んだ。

 昭和63年度は、昭和59年〜62年度の研究で得られた「新しく開発した教材・教具の活用、意欲的に学ぶ生徒、教師の指導法の改善等」をまとめ、さらに一歩進めて「内発的な意欲をもって学習する生徒の育成」をサブテーマとした。近畿大会前年の県大会は、三田市立狭間中学校で開催された。
 県下各地より、460名以上の先生方が参加し、熱心な研究協議で、私たちの進めている研究実践に確信を持つことができた。

 そして、平成元年度は、昭和59年度より進めてきた研究実践のまとめを「近畿大会」で発表することがでさた。昭和63年度に続き、サブテーマ「内発的な意欲をもって学習する生徒の育成」を掲げた。
 近畿各府県より1,514名(内兵庫県711名)の先生方が参加、阪神・神戸地区を会場に、2日間、意義ある研究協議を進めることができた。
 生徒が学び方を身に付け、意欲的に活動する公開授業、分科会では、県下各地の6年間の研究実践が詳しく報告された。
 「内発的な動機にささえられた、意欲的・積極的に学ぶ生徒の育成こそ、教育の本質であり、私たち技術・家庭村の教師がじっくり育んできた姿である。」と昭和63年度の県大会で提示されてきた。そして、近畿大会では、近畿の先生方に深い感銘を与え、私たちの研究実践をより確かなものにすることができた。

 平成2年度は、西脇市立西脇中学校において、約600名の参加者を得て、熱心な研究協議をもつことができた。昨年度の近畿大会の熱気と感動を確かな成果として、新たな一歩を踏み出す大会となった。専門委員で協議した結果、研究主題を「学びとる力の育成を通して、個性的で創造性豊かな生徒を育てる」と設定し、副主題を「感動と成就感のある授業をめざして」とした。そして、実践的研究の発表と交流を深め多くの収穫を得ることが出来た。

 平成3年度は、姫路市立広嶺中学校において、500名程の参加者を得て、昨年と同じ研究主題で大会が開催された。副主題は「一人ひとりの個性を生かす、楽しい学習をめざして」とし、新学習指導要領への移行期における実践的取り組みが公開され、協議された。特に新領域の「情報基礎」と「家庭生活」の分科会は、100名を超える参加のもと熱心な意見交換があった。実技を適しての生徒の変容をみつめる研究を通して、本県研究会の誇りと自信として一人一人の教師が感じることができた。

 平成4年度は、山陰海岸国定公円の美しい自然に囲まれた豊岡市立豊岡北中学校を会場に487名の参会者を得て、一人一人の個性を重視し、創造性を高める授業を通して「学ぶ意欲に溢れる生徒を育成する」という研究主題の元に、新領域の情報基礎・家庭生活と必修領域である電気と食物の公開授業や保育以外の全領域においての研究発表と研究協議に熱心な論議が交わされ、更に新しい実践の糧が得られた有意義な一日であった。また、本研究会編集発行の「ハンドブック」は、新教育課程の完全実施に伴なって全面改定され、この年より技術領域と家庭領域が合本となり更に使いやすいものとなった。内容も本県に関するものを多く取り入れ、より身近な資料が得られるようになっている。

 平成5年度は、当県の県庁所在地でもあり、21世妃の都市計画としてアーバンリゾート計画を推し進めている神戸市の新興住宅領域にある平野中学校を会場に534名の参加者を得て、「新しい学力観」に立った教育のあり方を求めて、「一人ひとりの生き生きとした学習への取り組みをめざして」という研究主題の元に情報基礎、消費者教育の実践発表が行われ、また、分科会において栽培と住居以外の領域についての研究発表が行われ、県下各地の仲間達の研究実践の成果を交流し合い、研究協議の中で確かめ合い深化を図ることができた研究大会であった。

 平成6年度は、近畿大会を次年度に控え研究推進の総仕上げの2年間と位置付け、平成元年度に第28回近畿大会を開催した阪神地区で県大会を開催した。「工夫と喜びのある学習から、実践的に活動する生徒の育成をめざして」をサブテーマに川西市立東谷中学校を会場に県下各地から460名を越える参会者を得て、「情報基礎領域における制御の教材化」「男女が共に学ぶ保育学習」の実践発表と木材加工、機械、保育、食物領域の公開授業、ならびに昨年度と同じく栽培と住居領域を除く9領域の研究討議が時間を延長して熱心に協議が行われた。

 平成7年度は、本県で第34回近畿中学校技術・家庭科研究大会(兵庫大会)が東播磨地区を中心として開催された。大会には、近畿をはじめ、全国各地から1400名を越える多数の参会者を得て、有意義に、また、盛会のうちに終了することができた。この年は、兵庫県南部地震による震災で、一時は本県における開催が心配されたが、近畿各府県市役員の皆様方の激励や、本県会員の熱意と協力により思い出に残る大会となった。当日企画したチャリティーバザーにも多くのご協力をいただき心温まる思いをした。
 この大会を通して、研究会の伝統と組織力の強さを改めて感じさせられた。また、教育が大さな転換期にある今、21世紀を担う子どもたちを育てるために、新しい学力観をはじめ、教育現場の再点検に向けてどう取り組めばよいのか等、文部省をはじめ、各府県市町教育関係諸機関の先生方から的確な指導助言が得られるなど大きな成果が上がった。
 「学びとるカの育成を通して、個性的で創造性豊かな生徒を育てる」という研究主題は、この近畿大会で一応の区切りをつけたが、大会で得られた成果と課題をもとに、更なる研究を深めるために「一人一人の良さを生かし、自ら学び続ける生徒の育成」を新たな研究主題に定めた。

 平成8年度は、歴史と文化が息づく城下町にある赤穂中学校を会場に487名の参会者を得て県大会を開いた。「個性や創造性を大切にし、生きる力を育むために」をサブテーマに、新しい技術・家庭科のあり方を踏まえた講演や実践事例の紹介があり、近畿大会後の1回目の県大会として意義ある一歩が踏み出せた。

 平成9年度は、豊かな自然に囲まれた柏原中学校を会場に485名の参加者を得て、記念すべき第25回目となる県大会を開いた。過去の大会の度史を探り、資料としてまとめるなどの工夫のもと有意義な会となった。「個性や創造の喜びを大切にしながら」をサブテーマとし、4つの公開授業と6つの分科会で熱心にその実技の様子が披露された。
 平成10年度は、大震災で大きな被害を受け、震災復興の拠点にもなった神戸の鷹取中学校を会場に642名の参会者を得て県大会を開いた。「防災教育を取り入れた学習の展開を通して」をサブテーマにした公開授業が行われた。各地からも熱心に取り組んだ研究実践が数々紹介され、今後の本教科のあり方を考えさせられる有意義な大会となった。

 平成11年度は、新学習指導要領やその移行措置などが具体的に示されるなど会員一人一人が明確な問題意識を持って県大会に参集した。会場は、伊丹市立笹原中学校で523名の参会者を得て「共生社会を豊かに生きる技術・家庭科の基礎・基本とは」をサブテーマにした公開授業が行われた。
 公開授業後の分科会も今後の本教科の取り組みを視野にいれた研究発表や協議に話題が集まり意義ある大会となった。

 平成12年度は、「明石海峡大橋」の開通にともない、交通の便のよくなった淡路の洲本市立洲浜中学校を会場(参会者464名)に県大会を開き、大きな成果を得た.サブテーマは「地域の生活を見つめ、体験を通して課題解決の能力を育てる」で、本教科の性格を鮮明に表すもので、次年度の近畿大会(兵庫大会)につながる研究を公開することができた。


3.今年度の取り組み

 21世紀を迎え教育改革の話題に関心が集まっている.「生きるカ」を身につけさせることや「総合的な学習」の重要性などが叫ばれているが、いずれも本数科のねらいや学習スタイルと合致する部分があると言える。この自覚と責任を大切に、日々研修を深めたいものである。
 また、平成8年度より設定した「一人一人の良さを生かし、自ら学び続ける生徒の育成」という研究主題のもと、「兵庫は一つ!」、そして「近畿は一つ!」を合言葉に今秋開催される近畿大会(兵庫大会)の成功に向けてさらに研鑽を積んでいきたい。