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伝 説 世 界

作・樹馨   絵・キョウ



 トゥラーキアには伝説がある


 天地が創られたとき光と闇の戦争があった

 光のラクタと闇のタクナ

 二つの勢力の中心である二神

 永きに渡る戦いに終止符が打たれたとき

 ラクタはタクナを封印したが

 その封印は不完全なものであった

 ラクタは最期の力で五百年に一度この世界に

 自分の力を持つ者を産み出すようにした

 ラクタの子と呼ばれる者は

 紫の瞳

 青銀の髪


 均整のとれた体をしており

 容姿端麗であったと語られている

 彼らはラクタの知識を産まれながらにして持ち合わせている

 そして彼らはタクナ封印の地タティミノへ向け旅立つ

 タティミノに行く彼らは二度と帰っては来ないだろう


 その訳は彼らがタクナと相打ちになったとも

 タクナの最期に呪いをかけられタティミノから離れられなくなったとも噂されている・・・



 そして今、一人の青年がタティミノに向け旅だった。この物語は彼の戦いの記録である。

 その青年の名はトーカ。トーカはラクタの子であった。

 だが、今回は今まで語り継がれて来たラクタの子とは少し違っていた。

 体格が良く、剣術や弓術などの武器も得意としていたのだ。

 彼は今までのラクタの子とは違っていたので、人々は彼が帰って来ることに期待した。

 トーカの戦いの記録は残された者の期待を裏切らなかった。トーカ自身が帰って来ずとも・・・。

 トーカはタティミノの前、審問の扉の前にいた。

 この扉の向こうにタティミノがあり、そこの一画に、タクナの居城があるはずである。

 審問の扉は閉じられていた。

 その扉は、光神ラクタの配下の種族名や闇神タクナの配下にある者の名などを知っている、

 ラクタの知識のある者のみが通れる扉であった。

 そしてラクタの子であるトーカはいともたやすく扉を開け、審問を受けた。

 そして抜けて行った。しかし目の前に広がっていたのは、一面の花畑だった。





 タクナの城は影も形も見られなかった。彼は道を作った。

 そして自分の感じる方向へと道を作っていった。

 そのときの彼の言葉だ。

 「己の前に道は無くとも、己の信ずる道を進め。

 さすれば己の後ろに道が開ける。」

  次に出会ったのは、果てしなく広がる森だった。彼がここで

 言葉を発すると、森は開け、道が生まれた。

 「退け。」

 この一言だった。

 次は水の精霊であるマキュードゥとの戦いだった。

 トーカは大地の魔法を使い、マキュードゥを倒した。水を大地で吸い取ったのだ。

 火の精霊ズサーマーリュと風の精霊ジャランミュは同時に出現した。

 ズサーマーリュは海の、ジャランミュは囲みの魔法でそれぞれ倒した。

 火は水で消し、風は囲いで取り囲み動けなくしたのだ。

 四大元素最後の地の精霊は森の魔法で倒した。今までの精霊は

 全て闇神タクナに属する精霊たちである。

 トーカはたった一人でここまで突破した。驚異的とも言える。

 タクナの居城前での最後の戦いは闇とだった。

 闇はトーカの時の感覚を失わせたので、彼は闇に飲まれかけていた。


 だが、トーカの意志は強く、闇に飲まれることは無かった。トーカは言った。

 「己の聖なる光を信じよ。さすれば道は開かれん。迷うことなど無い。」

 すると、トーカを中心とし、眩いばかりの光が辺りを照らした。

 闇は去り、タクナの居城が見えた。トーカは迷わず王の間を目指した。

 トーカには仲間がいた。私もそのうちの一人だ。

 しかし、彼は仲間には頼らなかった。それどころか、仲間がいることを

 忘れているかのようだった。

 仲間に頼らなくともトーカは強かった。息一つ乱さず、疲れを知らぬかの様であった。

 トーカは王の間で闇神タクナと対峙していた。

 勝負はすぐについた。トーカは自身の身体とラクタの聖なる光をもって、タクナを滅ぼしたのだ。

 だが、そのために、彼の身体は幼児化し、さらに退化して魂となり、

 ロードと呼ばれる命の集まりに還っていったのだった。

 トーカはタクナを倒すためだけに生まれてきたかのようであった。

 自分の命など、どうなっても構わないかのように私には見えた・・・。




記録者 カシュ・マ クル・クルシェ





 
これがトーカの戦いの記録である。

 この記録は、ある所では、口伝えで伝説となったり、

 また他の所では、光闇時代の終わりの物語として書物にまとめられたりした。

 今、トゥラーキアは剣の時代、魔法を使うトーカの戦いなどは忘れ去られ、

 本当に伝説でしかなくなってしまった。

 だが、タクナが滅びても、ラクタの子は生まれる。

 そのラクタの子は、きっとラクタの元へタクナが滅びたことを伝える旅に出るだろう。

 そして、その話はまたトゥラーキアの伝説になるだろう。

 だが、今はまだ、そのラクタの子〈フィナカッツェ〉は生まれてすらいない。

 トゥラーキアにフィナカッツェが生まれ、成長した時、また新たな伝説が始まるだろう。







 トゥラーキアは世界の果てにある大陸。

 トゥラーキアは物語の王国。

 トゥラーキアの人々はいつも新たな物語を作り出す。

 彼ら一人一人の物語は全て伝説となり、人々の記憶に残る・・・。

                                                     完



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