在校生答辞
第30回卒業証書授与式  答 辞

暖かい陽の光が降り注ぎ、桜の蕾も膨らみ始め、春の訪れを感じる今日、私たち三十回生は卒業の日を迎えました。本日、お忙しい中、私たちのためにご臨席くださいました皆さま、誠にありがとうございます。

いま思い返してみると、北摂三田高校で過ごした三年間はあっという間でした。中学時代の友達と北摂三田高校の門をくぐり、合格発表を待っていた三年前。合格する自信がなく、不安で息が詰まりそうになっていたけれど、二階の渡り廊下から吊るされたボードに自分の番号を見つけた瞬間、友達と肩を叩き合いながら喜んだことを今でも鮮明に思い出します。入学式を終えて授業が始まると、六十五分という授業の長さと内容の難しさに、合格の喜びは新たな不安へと変わっていきましたが、同時に「北三生になったのだ」という自覚もじわじわと湧いてきました。

北摂三田高校の校訓の一つである「勉学」。入学前にある程度覚悟はしていたのですが、授業のスピードが速くなるにつれて分からないことが増え、心が折れそうになりました。そんな時、友達が「一緒に頑張ろう」と声をかけ、優しく勉強を教えてくれました。その思いやりの心がとても嬉しくて、大きな励みになりました。志の高い、切磋琢磨できる友達と出逢えたことは一生の宝物です。

心に残る行事もたくさんありました。五月に行われた北摂祭文化の部において、一年生では合唱とウエルカム・デコレーション、二年生では展示作品、三年生では演劇に取り組みました。特に一年生の合唱では、この年に本校が創立三十周年を迎えることから、校歌の四部合唱に挑戦しました。また、三年生の時は、例年とは違って特別な文化祭のテーマが設けられなかったため、各クラスの自由な発想により、個性溢れる作品が出揃いました。しかし、本番当日までの道のりは決して平坦ではありませんでした。脚本が決まり、配役を決める頃になっても、やりたい役をやれない人がいたり、人によって文化祭の取り組みに対する温度差があったりと、まとまりは皆無でした。しかし、本番が近づくにつれて「今日はこの作業やるで!」「なんかすることある?」という声が波紋のように広がり、やがてひとつの作品を「みんな」で成功させるという目標に向かって団結するようになってきました。そして迎えた本番。どのクラスもオリジナル脚本をもとに、素晴らしい演技を披露しましたが、眩しいほどのステージ上の輝きは「ばらばらだった個人が一つにまとまって成し遂げた」ことによるものだと思います。

七月の短縮期間には球技大会が催されました。いつもは教室で真剣な眼差しを教科書や黒板に向けている友達が、必死にボールを追いかけている姿は新鮮でした。あの時の体育館や運動場に響く応援の声は今でも耳に残っています。また、十月には遠足がありました。一年生では京都の嵐山で散策を行い、二年生では東山を散策したあと、清水焼の絵付けを行いました。三年生の遠足は毎年恒例となったUSJでした。グループごとにアトラクションを楽しみ、受験勉強のストレスを思いっきり発散しました。 三年生の一月には修学旅行があり、長野県の志賀高原と東京に行きました。二日間行われたスキー講習では、天候に恵まれず、吹雪の中での講習となりました。それでもインストラクターの方がとても陽気な方で、小学校六年生での野外活動以来滑ったことのない初心者の私にも、とても分かりやすく楽しく教えてくださいました。スキー場の雪は今まで持っていたイメージを覆す、ふわふわな感触の雪でした。その雪に足を取られて一人が転倒すると、そのあとにまた一人、また一人と続いて転倒し、まるで団子のようになって大笑いしました。二日目の午後はゲレンデツアーに出かけ、とても初心者向けとは思えない急な斜面も滑りました。遭難するかと思いましたが、なんとか滑りきったときは、爽快感と達成感ですごく気持ちよかったです。二日目の夜の学年レクリエーションでは、有志によるダンス、歌、漫才に続いて、各クラス男女一名ずつの代表による男装女装コンテストがありました。そのあまりの美しさに驚くとともに、大きな拍手と歓声が贈られました。そして最後に、レク係の人たちが長い時間をかけて作ってくれたクイズビデオが流されました。脚本も演出もとても良く練られていて、北三の先生方がゲスト出演されていたこともあり、楽しい夜の締めくくりにふさわしいものでした。 東京に移動した最終日はキャリア研修で、企業や公共施設を訪れました。私は国会議事堂を訪れたのですが、テレビで見ていた光景が目の前に広がっている感動と、思っていたより数倍大きくて立派な建物に圧倒されました。また、国という大きなシステムもここで働く人たちが動かしているのだと思うと、廊下ですれ違う人たちも普段見かけるビジネスマンとは違って見えました。

また、高校生活でのかけがえのない経験をして挙げられるものに部活動があります。私の場合は生徒会活動でしたが、どの活動も仲間と協力しなければ成し遂げられないものばかりで、学ぶことが多かったです。行事の準備では時に意見が衝突し、なんとなく気まずい気持ちを抱えながら作業した時もありました。しかし、辛抱強く話し合うことでお互いの心の内を知ることができ、上手くいかなかった時の反省や、成功した時の喜びを共有することができました。また、たくさんの活動を通して、様々な人と関わることができたのも大きな収穫です。生徒会として活動させていただけて、本当に良かったと思います。

在校生の皆さん、今まで私たちを支えてくださり、本当にありがとうございました。皆さんと過ごした日々も私たちにとってはかけがえのない思い出となっています。一年後に卒業していく二年生の皆さん、卒業なんてまだまだ先のことだと思っている一年生の皆さん。冒頭にも申し上げましたが、三年間はあっという間です。きっと皆さんも卒業する頃にはそう感じると思います。私は先輩方からそう教えていただいていたにも関わらず、日々の時間を無駄にしてしまいがちでした。だから皆さんには、勉強やクラブ活動はもちろん、友達と過ごす時間さえも大切にし、一日一日を過ごしていただきたいのです。その中で皆さんは様々な困難にぶつかることと思います。しかし、皆さんは一人ではありません。保護者の方々や地域の方々、そして北摂三田高校の先生方や友達など、たくさんの方々が見守ってくださっています。そのことに感謝し、もし何かあった時は決して一人で抱え込まずに相談してみてください。そして、これからもたくさんの人に応援していただけるような北三生であってほしいと思います。

最後になりましたが、これまで私たちを温かく見守ってくださった地域の皆さま、ともに喜び、時に厳しく叱って私たちを導いてくださった先生方、本当にありがとうございました。そして、これまで育ててくださったお父さん、お母さん。思春期の私たちはなかなか素直になれず、私たちのためを思ってかけてくれた言葉も、なかなか受け入れることができませんでした。特に三年生になってからは、進路を決めなければならないということもあって、話し合いの中で険悪なムードになってしまうこともありました。それでも、どんな時も私たちを励まし、寄り添い、不安を和らげてくれる、その温かさが本当に嬉しくて、何度も心の中でありがとうと言いました。普段は照れくさくて言えないけれど、いつも感謝しています。私たちはだんだん自立していき、いつか親元を離れていきますが、それまでもうしばらくはお世話になります。

これから私たちは、それぞれの進路に向かって一歩一歩自分の足で歩いていきます。今後、大きな壁にぶつかったとしても、この北摂三田高校で得た多くの思い出、学び、誇りを人生の糧とし、力強く生きてゆきます。本当にありがとうございました。北摂三田高校のますますのご発展を心より祈念して、答辞といたします。

平成30年3月1日
卒業生代表 原口 莉舞