在校生送辞

第28回卒業証書授与式  送 辞

 厳しい冬の寒さのなかにも、春の訪れが感じられる季節となりました。少しずつふくらみ始めた校庭の桜の花のつぼみ、空を飛び交う小鳥のさえずり、やわらかな日の光。そのすべてが未来への希望に満ちた皆様の旅立ちを祝っているかのようです。 三年生の皆様、ご卒業おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます。

先輩方は今どんなことを思い出していらっしゃいますか。三年前の入学式、北摂祭や修学旅行の思い出、部活動。普段の何気ない友人との会話も輝く思い出となって、今先輩方の胸の中で次から次へと駆け巡っていることと思います。


思い起こせば、先輩は常に私たち後輩を導いてくださる存在でした。初めての北摂祭に感動し、自分もこんな大きな行事を成功させたいと入った生徒会での活動に行き詰まっていた私に、温かい言葉をかけてくださいましたね。私はその言葉のおかげで、周囲のことを考える余裕をなくしていた自分に気付き、生徒会活動を始めた原点に立ち返ることができました。私は、先輩方と過ごした2年間で、「チームワーク」というものは決して表面上の付き合いから生まれるものではないことを学びました。時には先輩に厳しいことを言われて落ち込むこともありましたが、その言葉の裏には、私たち後輩へのはかりしれない愛情が感じられました。先輩方の姿から、一つの「志」に向かってお互いに切磋琢磨しあえる人間関係を作ることの大切さを学ぶことができました。

このように私たちを導いてくださった皆様が引退されて、めっきりお会いする機会も減り、寂しさを感じては校舎内で先輩の姿を探しました。やっとお会いできた時に笑顔で接してくださることが嬉しくて、友人に自慢したこともありました。けれども、そのような日常も今日で終わりを迎えてしまいます。二年間、辛い時も楽しい時も先輩と一緒に過ごした部室。先輩がいるというだけで楽しかった下校途中の長くて急な坂道。皆様が卒業された後、私たちは、学校のいたるところに先輩方の面影を見つけては寂しさを感じることでしょう。しかし、落ち込んでいてばかりではいられません。私たちには先輩方から得た多くのものを後輩に伝えていかなければならないという責任があります。昨年、三十周年という節目の年を迎えたこの北摂三田高等学校を、ますます誇れる学校にしていきたいと思います。

これから先輩方は、新しい世界で新しい出会いをして、それぞれの夢に向かって着実に歩みを進めてゆかれることと思います。その歩みのなかで、時には乗り越えるのが容易ではない困難にぶつかることもあるかもしれません。そのような時は、北三生として過ごした三年間を思い出してください。ここで得たかけがえのない仲間の存在や様々なことに懸命に取り組んだという自信が、どんな困難でも乗り越えられる力となって皆様の背中を押してくれるはずです。先輩方はいつまでも私たちの憧れです。これからも先輩方が信じる道を進み、その夢を実現させてください。そして卒業してからも母校北摂三田高校を訪ね、元気な姿を見せて、私たちを励ましてください。お待ちしております。

 最後になりましたが、卒業生の皆様のますますのご健康とご活躍を心からお祈り申し上げ、送辞といたします。

平成28年3月1日

在校生代表 大西 真由