第30回入学式

学校長式辞

 花冷えの春の陽だまりに、燕の姿を見つけることができる季節となりました。ただ今は、入学許可をさせていただきましたが、本日こうして記念すべき第30回の入学式を挙行できますことは、本校にとってこの上ない喜びでございます。ご臨席いただきました来賓の方々に、高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございます。
 また、保護者の皆さま、この度はお子様のご入学おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。お子様に対し、本校の教師一丸となり、保護者の皆さまと気持ちをひとつにしてお子様の成長を助けていきたいと思います。

 さて、本校30回生となる新入生諸君、ご入学おめでとうございます。本校は、昭和61年4月に開校し、本年度創立30周年を迎える学校です。かつて本校一帯は、神戸市北区から三田市中央部武庫川付近まで連なる松林の丘陵だったようです。その後、「神戸三田国際公園都市」という大きなニュータウン計画のもとで開発が進み、昭和55年にはフラワータウンとして分譲が開始され、6年後に生まれたのが本校です。卒業生は9,276名に達しました。学校にとって、一世代を意味する30年は非常に意味深い数字で、地域の中で世代を超えて教育活動を継続することができたことを意味します。

 入学にあたり、諸君が高校入学にかけたその努力をたたえるとともに、お話ししたいことが二つあります。
 まず、諸君にとって、受検に対する勉強はどのような学びだったでしょうか。きっと、正解を求め、「知る」を増やしていく、そんな学びだったと思います。「学び」は上級学校へ歩みを進めて行くにつれて形を変え、疑問を持つこと発見することが価値を持つようになります。正解がある問題ばかりでなく、解けない疑問も数多く登場するようになります。高校は、ちょうど学びの質が変化する年代にあたります。入学後、諸君は、「知らない」「分らない」と言うことに臆することはありません。「解けない」ことは、即ち諸君の進歩であり、チャレンジであると捉えています。
 また、世の中では、ICTの利活用とグローバル化が予想以上に急速に進もうとしています。視線を向けただけで見た物の情報が出てくるというコンタクトレンズやメガネ型ディスプレイ、こんな情報の取り出し方もごく近い将来にフィクションではなくなるでしょう。美術館や商品展示を照らすLED照明の中に情報を盛り込み、スマートフォンで取り出す、こんな照明とスマートフォンのアプリが今年中にも普及しようとしています。こうなると、世界中の情報・知識が思いのままに得られるので、記憶した知識の量を学力として見るより、それを活用する能力や創造力が学力として重視されます。また、国境と言語を越えて情報と人が動くようになるのです。
 そして今、「グローバル人材の育成」が必要とされるようになってきています。どのような人をグローバル人材と呼ぶか。立場や仕事の違いで少し説明に違いはあるようです。語学力やコミュニケーション能力、主体性やチャレンジ精神、異文化理解と日本人としてのアイデンティティを持つ人がグローバル人材であると定義されたり、もっとシンプルに「異なる考え方の人とも協力して仕事ができる人」という表現をされたりします。私自身は、「世代や国籍、宗教を問わずコミュニケーションすることができ、自分の意見や考えを述べ、ともに働くことができる人」と定義したいと思います。

 こんな能力がこれからの社会を生きていく諸君には求められているのです。そんな中、本校は本年度文部科学省のスーパーグローバルハイスクールアソシエイトとして全国55校のうちの一校として選ばれました。また、本年度新入生諸君は、OECD-PISAの学力調査の対象校にも選ばれており、世界的な学力調査の抽出対象となっています。

先ほどのグローバル人材の定義に対し、北摂三田の先輩生徒たちは、単に問題を解く学力に優れているのではなく、表現力やコミュニケーション能力、協働して物事を完成に導く能力に優れていると思っています。新入生諸君も本校での学びの中、失敗を恐れず、解けないことを恐れず、伸び伸びと育って欲しいと願いつつ、式辞といたします。

平成27年4月8日
兵庫県立北摂三田高等学校長 竹中敏浩

 


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