芸術鑑賞会


 9月30日(火)前期終業式に引き続き、午前10時30分から芸術鑑賞会があり、本年度は伝統芸能の狂言を鑑賞しました。演じてくださったのは、大蔵流狂言の善竹忠一郎氏が主宰する善竹会の皆さんと、県立宝塚北高校演劇科2年生の皆さんです。
 まずは演劇科2年生3名による「蟹山伏」で、修行を終えた山伏が強力(家来)を従えて帰国の途中に蟹の精と出会うというストーリーでした。演劇科の皆さんの声がホールに響き渡りました。
 続いては、善竹会の皆さんによる「鬼瓦」でした。京の都で仕事を終えた大名がお堂の鬼瓦を見て家族を思い出し、懐かしさで泣き出してしまうという話ですが、人の情は室町時代も現代と相通じるものがあるものだと感心させられました。
 最後は「附子(ぶす)」でした。これは小学校の国語の教科書にも取り上げられる演目で、狂言の中では最もポピュラーなものの一つでしょう。ストーリーは、主人が附子(ぶす)という毒だと言い聞かせておいた砂糖を太郎冠者と次郎冠者が食べてしまい、二人はその言い訳に掛け軸を破り壺を割って主人に大損をさせてしまうというものです。馬鹿げた話と笑ってしまいますが、実は現代の社会のあちこちによく似た出来事があるのではないかと少し怖くもなりました。
 狂言は、室町時代に生み出され、現代まで演じ続けられてきた「笑いの芸術」です。笑いの本質がいつの時代にも通じるからこそ、長い時間を経て今日まで生き残ってきたのです。感受性豊かなこの時期に、生(なま)で本物を鑑賞できることは本当に幸せなことだとあらためて思う一日でした。




県立宝塚北高校演劇科2年生の皆さん


「蟹山伏」


「鬼瓦」


「附子(ぶす)」




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