みなみんの教え 〜偏差値20アップする魔法の習慣〜 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

自分ひとりしかいない@

文化祭が近づいてきて1年生のクラスでは、コーラスの練習が佳境に入ってきた。昼休みも放課後も、昇降口のピアノの周りや音楽室、教室、トイレからも歌声が聞こえてくる。紗保里のクラスでは部活に早く行こうとする生徒と、文化祭のコーラスの練習をしようとする生徒との間で軋轢があり、クラス内に不協和音が流れ始めていた。

「みなみん。変なの。」スマホを支え持つのがめんどうな紗保里は、すぐにボタンを押して3Dみなみんを机の上に登場させた。「ねぇみなみん。今クラスがばらばらで、コーラスの練習が全然できてないの。他のクラスから聞こえてくる歌声は、コーラス部か?ってくらい声量があって上手なのに。このままだとコーラス大会に出られないよ。」

今日の放課後、紗保里のクラスでは、なかなか始まらないコーラスの練習に業を煮やして、一部の生徒達が部活動に行こうとした。すると、文化委員の飯田綾(いいだ あや)が、「勝手な行動しないでよ。みんなのコーラスでしょ。練習しなさいよ。」と注意した。「もう4時になるのに、みんなだらだらしてるだけで全然始まらないし、部活に行かないと怒られるんだよ。」サッカー部の西山俊樹(にしやま としき)が担いだスポーツバック越しに振り返って言った。西山に続いて、ぞろぞろと大半の生徒が出て行ってしまった。「こんなクラス。もう知らない。勝手にすればいい。」飯田綾はそう言って教室を出て行き、そのまま流れ解散となった。

「まとまりのないクラスだよね。まあ、コーラス大会で恥をかくくらい、なんてことないか。」頬杖をついてうそぶく紗保里にみなみんはあきれたように肩をすくめると、「さぼりちゃんはクラスの中でどうしてるみん?」と尋ねた。

「私?私は協力的ですよ。練習に残れと言われれば素直に残るし、歌えと言われればその気になって歌うし。」「そんな『浪花節だよ人生は』みたいな感じじゃだめだみん。」「はぁ??何のこと?」

適当に右手を上げるとみなみんは言っ1た。
「とにかく、みなみんの教え8『自分一人しかいない』」

「へっ?いつももったいつけて『教え』を出し惜しみするのに、今日はやけにすんなり教えてくれるんだね。」

「この教えを理解力の低いさぼりちゃんに説明するのが大変だから、前置きは短くしたみん。」

「はぁ?!なんだって?!」

「まぁ聞くみん。さぼりちゃんのクラスにまとまりがないのは、だれも『自分一人しかいない』と思ってないからだみん。『誰かがコーラスの練習を始めてくれるだろう。歌い方を指導してくれるだろう。』とみんなが思っているから練習は始まらないし、上手くもならない。当事者意識がないみん。『上手く歌えるようにするのは自分一人しかいない』と思ったとき、真剣に取り組めるようになるみん。さぼりちゃんはそんな気持ちでいたみんか?」

「ううん。係りの文化委員がやればいいと思ってた。でも文化委員はみんなのコーラスだからみんなでやろうって言ってた。」「『みんな』というのは時には責任逃れに使われる言葉だみん。第3セクターやソフホーズが失敗したり、派遣社員ばかりの会社が伸び悩んだりするのは、みんな『誰かが責任を取るだろう』と思って、『自分一人しかいない』と思ってないからだみん。」

「第3セクター?ソフ・・?何のこと?」「とにかくさぼってないで、このクラスのコーラスを成功させるのは『自分一人しかいない』と思ってやってみるみん。明日どんな結果になったか教えてみん。」

「ちょっと待ってよ。そんな無茶な。『自分一人しかいない』みたいな寂しくて厳しい感じ、私には無理だよ。」

 

第8回