みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

「恋愛とは自己愛」

「恋愛に関する教えがあるとすれば、何よ。」紗保里はぐっと身を乗り出した。

机の上のみなみんは、気おされて2歩後ろに下がったが、改めて胸を張るとくるりと回って右手を上げた。

「みなみんの教え42
『若者の恋愛は、自分の価値を確かめるための自己愛である。』

「何その心に響かない教え。恋愛って相手を愛することでしょ。特に若者の恋愛は、好きな人のためなら自分の全てを捨てられるって感じで、大人みたいな打算のない、純粋なもので、全然自己愛じゃないじゃん。」紗保里は椅子の背もたれに倒れると、失望色のため息をついた。

「さぼりちゃんは、付き合っている大好きな彼が『もっと好きな人ができた』と言って、他の人と付き合い始めたらどう思うみんか?」

「そりゃ、私と付き合ってるのに、他の人を好きになるなんてひどいと思うし、私のどこが悪かったのよ、私のことを好きじゃなかったのって聞きたい。すごいショックで立ち直れないかもしれない。」

「ほら、『私』しか出てこないみん。」みなみんは両手を広げ、肩をすくめた。

「はぁ?」

「もし、好きな彼のために自分の全てを捨てられるなら、彼がもっと好きな人と自由に付き合って、幸せになることを喜ぶはずだみん。でも、そうはならない。彼への思いが深いほど、彼や新しい彼女を恨んだり、妬んだり、呪ったり、復讐を考えたり、ストーカーになったりするみん。そして、自分には何の価値もない、死んでしまいたいと思ったりするみん。」

「うーん。そうかもしれないけど・・、でも、何で『若者の恋愛は』なのよ。」

「若者はまだ何者でもないから、自分の価値を探しているみん。自分のことを好きになってくれる人がいると、その人が素敵な人であればあるほど、愛された自分には価値があると思えるみん。だから、その相手を自分の価値を保障してくれる唯一無二の大切な人だ、その人のためなら全てを捨てられるとまで思うみん。そして、その人に捨てられたら、自分の存在価値そのものが無くなってしまう気になる。つまり、若者の恋愛は、自己愛だみん。」

「・・・恋愛は自己愛ねぇ・・でも、そうだったとして、そんな教えが、何になるわけ。」

「この教えは、今のさぼりちゃんには必要ないかもしれないみん。でも、将来、さぼりちゃんが大失恋して、生きる気力をなくしたり、付き合った相手に束縛されたり暴力を振るわれたり、さぼりちゃんの友達が恋愛ですごく悩んで、心が壊れ、死んでしまいたいほど悩んでいたりした時には、人生を救うくらい役に立つ教えになるみん。恋愛で悩んで視野が狭く狭くなっている人に『それは、相手への愛ではなく、自己愛であって、自分には生きる意味がないなどと思うことはない、あなたには価値がある』と言ってあげることができるみん。そんなふうに、客観的に説明して、そばにいてくれる人がいたら、救われるみんよ。」

「ふーん。そうなのかなぁ。」

「でも、それくらい好きだと思える人に、一生に一度でもめぐり合えたら、幸せかもしれないみん。」

「そうだねぇ。」白馬の王子様との、身を焦がすほどのドラマチックな恋愛にあこがれる紗保里ではあったが、高校生ともなれば「二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。」とは行かないことも知っているのだ。

第48回