みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新
「沈黙と友情」

「大木先輩、卒業おめでとうございます。よかったらこれ食べてください。」

ソフトテニス部の卒業生を送る会が終わった後、網嶋美奈代はガーベラ模様のビニール袋に入ったケーキの箱を、大木源三に差し出した。そうして顔を伏せたまま、袋が受け取られるのを待った。真っ赤になった耳には、猫の心音のように早い鼓動が響いている。

昨日、美奈代は期末考査が終わってから急いで家に帰り、フォンダンショコラを焼いた。3年生は2月中、受験で学校に来なかったから、バレンタインチョコのつもりで何度も失敗しながら心をこめて焼いた。生まれて初めて書いたラブレターを箱の底に入れ、これもガーベラ模様の透明なシートを敷き、上手くできたフォンダンショコラを6つ、ラップでくるんで入れたのだった。

「おう、ありがとう。」と言って受け取った大木先輩は、早速箱を開け「これ、お前が作ったの?」と1つ取り出した。

「そうです、フォンダンショコラです。」美奈代が、真っ赤な顔を伏せたまま消え入りそうな声で答えると、「へぇ、食べていい?」と早速ラップを外しだす。

「ど、どうぞ。で、でも、暖めたほうが中のチョコレートが溶けておいしいので・・、家に帰ってから・・」

「うまい!」美奈代がまばたきを2回する間に、大木先輩は大きな口で4つ食べてしまった。残った2つを取り出すと、箱の底の手紙に気がついた様子だった。

「そ、それは、フ・・、フォンダンショコラの暖め方です。コツがあるので・・家で読んで・・。」

「でも、すぐ食べるからいいや。ありがとう、すごく美味しかった。これからもがんばれよ。また、練習見に来るからな。」

そう言って、くしゃっと笑うと、1、2年生対3年生の親善試合に行ってしまった。

「だいたい、男子ってガキなのよ。」

「私だったら、棺桶まで持っていくけどなぁ、その手紙。」夷川桜子と紗保里は形の悪いフォンダンショコラをしみじみと味わいながらつぶやいた。

美奈代は窓枠に突っ伏して動かない。窓の向こうのテニスコートでは親善試合が行われている。3人は早春の青空に登って行く歓声とボールの音をいつまでも黙って聞いていた。

「3人は本当の友達になったようだみん。」話を聞き終わったみなみんは言った。

「へぇ、なんで恋愛じゃなく友達の話になるわけ?」

「みなみんの教え41
『黙っていても、心安らぐ相手が本当の友達』

 を埋めようと気を遣っている亜間は、まだ本当の友達になっていないみん。何かしゃべっては、まだ本当の友達にはなってないみん。沈黙が気まずくない相手が本当の友達だみん。3人は心を許せる友達になってきたんじゃない?」

「そうかもしれないなぁ。でも、学校のアイドルの美奈代ちゃんでも上手く行かないなんて・・恋愛って難しい。ねぇみなみん、恋愛に関する教えはないの?」

みなみんの教え34『意志の力で感情をコントロールし、いつも笑顔でいるようにすべし。』というのは、好かれる人になる教えだけど、恋愛は1対1、好み、性格、タイミングいろんな要素が絡んでくるから難しいみん。恋愛に関しての教えがあるとすれば・・」

第47回