みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

「やる」ことが才能

「夷川(えびすがわ)の詩が今朝の新聞に載ってたぞ。」

国語総合の授業の最初、先生は嬉しそうに新聞のコピーをクラス全員に配った。見ると、神戸新聞文芸欄の「入選」の所に、姫路市 夷川桜子(えびすがわ さくらこ)「ペニーレイン」と、詩が掲載されていた。知り合いの名前を新聞の活字で見るのは初めてだった。ちょっと変わった話し方をする、演劇部の女の子という印象だった夷川さんが、急にはるかな高みにいる文学少女になった気がして、クラスのみんなはこっそり夷川さんの様子を盗み見ながら、詩を黙読した。

『・・いつもは光の中 ボールを追うあなた ガラス越し 目で追うわたし 今日は同じように黙って空を眺める ペニーレイン 猫は散歩の夢を見る ペニーレイン 庭のトネリコは伸びをする ペニーレイン 猫のあくび玉ひとつ ペニーレイン あなたの入った雨粒 私の手のひらに乗っている・・』 

「たいしたことないじゃん。なんでえびちゃんの詩が入選したのかなぁ。」家に帰った紗保里は、早速みなみんにコピーを見せた。

「さぼりちゃんにも書けるみんか?」詩を読み終えたみなみんは、プリントから顔を上げて尋ねた。

「まぁ、これくらいの詩なら誰でも書けるんじゃない?特に心を打つ素晴らしい表現もないし。女子高生の書きそうな詩でしょ。」鞄から教科書やノートを出しながら紗保里が答える。

「なら、書いてみるみん。」

「ええ~。めんどくさいし、他にやることあるし。」

「書こうと思えばいつでも書けるけど、今は書かない。才能はあるけど今は発揮しないってこと?」スイカズラの実のような、漆黒の小さな瞳が紗保里の顔をじっと見上げる

「ま、まぁそうだけど。そうはっきり言われると・・。」

「さぼりちゃんは、自分では何にもしないくせに、人の批判ばっかりしてるみんね。」

「え?みなみんの教え10『自分の頭で考える習慣をつける。』で、批判的にいろんな角度から自分の頭で考えてみろって言ったじゃない。だから、批判的に感想を言ってるのよ。」紗保里は目を逸らしながら、むきになって反論した。

「批判的とは、あらさがしをして文句をつけることとは違うみん。さぼりちゃんは、夷川さんへのねたみで悪口を言ったのと、自分にもそれくらい書けると自分を慰めただけだみん。それじゃあ、成長しないし、がんばってる人の足を引っ張りかねないみん。」

「・・・。わかったわよ。私が悪かった・・。」自分が恥ずかしくて、頬が赤くなる。

「わかればいいみん。じゃぁ、みなみんの教え38と言いたい所だけど、これは作家の林真理子の言葉だから、みなみん(林真理子)の教え38“やる”ことが才能であり、全てなのだ。』

私には才能がある、やればできると言って一生やらない人はたくさんいる。でも、本当は『やる』ことこそが『才能』。そして、『やる』ことが全てだ。やらなければ何も始まらないみん。」

「・・・。私も、文句言う前に自分でやってみるようにする。」

いつになく、心から反省する紗保里であった。

第42回