みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

ファッションは知恵

2学期終業式が終わって、紗保里は網嶋美奈代ちゃんと姫路駅前の御幸通りを歩いていた。オレンジや赤、緑に光るアラベスク模様のアーチが、にぎわう通りのずっと奥まで続いている。

「神戸ルミナリエじゃなくて、ヒメナリエなんだって。」と美奈代ちゃんが、見上げた半月の目をきらめかせてくすくす笑う。ざっくり編んだ真っ白なニットのゆるいタートルに、細い顎が少し埋まっている。チェリーピンクのAラインスカートに、後ろにリボンの付いたベージュのショートブーツ、中世のお姫様のような大きなフード付きのアイスグレーのロングコートを羽織っている。私服姿はさらにかわいくて、AKBのセンターも務まりそうである。

毛羽立った黒いセーターに、裏側起毛のジーンズ、汚れたスニーカーに、お母さんから借りたベージュのダウンコートという自分の姿を反省する紗保里。

御幸通交差点で信号待ちをしていると、向こうのファミリーマートの前に、学生服の5~6人の集団が信号待ちをしているのに気がついた。ソフトテニス部の一団だ。美奈代ちゃんが手を振ると、大木先輩が軽く手を上げ、小林拓人がスマホから目を上げた。信号が変わって横断歩道の真ん中で出会うと、大木先輩が「どこに行くんだ?」と尋ねた。

「買い物です。先輩達は?」と美奈代ちゃん。

「受験生だけど、ちょっとだけ姫路城にサンタピカチュウを探しに来たんだ。でも、ほら!」スマホの中のサンタピカチュウを見せびらかす。「ポケモンGOですか。」信号が変わりそうになったので、紗保里達は駅のほうに引き返し、みんなでハローキティカフェに入った。

2階のソファーに座り、ソフトテニス部の話で盛り上がったが、弓道部の紗保里は話に入れずみんなの様子を眺めていた。男子達は学校一の美少女、美奈代ちゃんの顔を嬉しそうにちらちら見ている。大木先輩がカップを持ち上げ、カフェオレの上に描かれたキティちゃんの顔に躊躇なくスプーンを突き立てぐるぐるかき混ぜて飲むと、美奈代ちゃんがキティちゃんを壊さないようそっとココアを一口飲み、拓人が携帯で写真を取ってからロイヤルミルクティーを飲んだ。

「紗保里ちゃんはお正月どうするの?」と美奈代ちゃんが話を振ってくれる。そこから紗保里も話の輪に入ることができた。

「なんか、すごく差を感じる。私なんか美奈代ちゃんに勝てるとこ一個もない。顔も、頭も、服までださいし。」家に帰ってみなみんに愚痴る紗保里。

「で、今日はさんざんだったみんか?」

「そんなことない、結構楽しかったよ。ソフトテニス部の男子と話ができて、大木先輩はおもしろかったし、拓人とも元通り遠慮なくしゃべれるようになったし、バーゲンの下見もできたし。」

「よかったみんね。ココ・シャネルはこう言ってるみん『美しさは女性の「武器」であり、装いは「知恵」であり、謙虚さは「エレガント」である。』ファッションに気を遣う子はちゃらちゃらしてるというのは間違ってるみん。装いは知恵だから、頭を使わないとファッションセンスは向上しないみん。そこで、みなみんの教え32『服装は自分が何者かを伝える手段である。ファッションセンスは努力して磨くこと。』自分に似合うスタイルや色を知って、場面に応じたコーディネートができるようにならないとね。年明けのバーゲンまでに、ファッションの勉強をするみんよ。」

「へぇ。そうしたら、私も美奈代ちゃんみたいになれるかなぁ。」

「美奈代ちゃんにはなれないけど、美奈代ちゃんと同じくらい魅力的な人になれるみんよ。」

第36回