みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

憲法は泣ける

ハロウィンパーティーの後、紗保里はクラスで無視されることはなくなった。というか、「振られてかわいそう」くらいの雰囲気になっている。まきちゃんとも話をするようになったが、なんとなく疎遠な感じになり、最近は美奈代ちゃんと一緒にいることが多くなった。

「以前に戻ってよかったみん。」みなみんは机の上で12cm浮いた状態で言うが、紗保里は「ブー」と舌を出して不本意を表明する。

「『現代社会』は日本国憲法をやってるみん?」ふわふわ教科書の上を移動するみなみんを手でスカッと払いのけながら「憲法って難しそう。」と文句を言う紗保里。

 「憲法は、国民を守るものだみん。」

 「へぇ、法律って、国民に守らせるものじゃないの?」


  「前文を読んでみん。『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。』とある。」

「ほう。国民を戦争から守ってるのね。」

「そう。それに、日本だけじゃないみん。『われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。』」

「いいこと言ってるなぁ。そんな世界が本当に実現したらいいのに。」紗保里は感心して前文を読みはじめた。

「憲法は短いみん。教科書P271P278の7ページちょっとしかない。でも、品格と慈愛に満ちて、日本人の誇り高さがよく表れてるみん。『われらはいづれの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理念と目的を達成することを誓ふ。』とあるみん。
 新大統領トランプ氏のように『偉大なアメリカ』だけよかったらいいという考え方とは全然違うみん。」

「しかもそれを、武力を行使しないでやるわけだ。」

「第9条に『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。』とあるみんね。難しいけど、武力を使わずに交渉、援助、国際協力などで平和を築く努力を続ける憲法の理念はとても尊いみん。」

「そうだよね。泣けるねぇ。そんなこと誰かやってくれる人いるかなぁ」腕を組んで感に入る紗保里。

「なに言ってるみん。それをするのはさぼりちゃんだみん。」

「へっ?なんで私?」一女子高生に、何ができるの、とばかり紗保里は眉を上げる。

「第12条を読むみん。『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。』国民とはさぼりちゃんのことだみん。平和や自由な状態は、下りのエスカレーターを上っているようなもので、努力を怠ると、だんだん失われてしまうみん。」

「えー。でもその努力って、どうやったらいいかわかんないし。私なんか何の力もないしぃ。」

全くやる気のない紗保里に、みなみんは、「教えてあげてもいいみん。」と、久しぶりにもったいぶって言った。

第30回