みなみんの教え ~偏差値20アップする魔法の習慣~ 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

緊張と弛緩

紗保里は冴子先輩の動きを目で追いながら、いきものがかりの「ブルーバード」にあわせて懸命にダンスを踊っていた。南高校の体育大会は学年縦割りで、赤、青、黄、緑、紫、橙の6つの団に分かれて競い合う。紗保里のクラスは青団で、まきちゃんが張り切って一緒に応援団やろうと言ったので放課後遅くまでダンスを練習することになった。

初めて青の応援団が集合した時、冴子先輩が2年の団長だと知って紗保里は少なからず恐れおののいたが、3年の団長が大木源三(おおきげんぞう)という背の高い、優しそうな人だったので少しほっとした。
 周りから「げんさん」と呼ばれている大木先輩は団員の前で「今はだめだけど、おじいさんになったらかっこいい名前の大木源三です。」と自己紹介し、両手のこぶしを突き上げて、「青団は一糸乱れぬパフォーマンスで優勝を目指すぞ!」と気勢を上げた。 

「と言うわけで、一糸乱れぬパフォーマンス目指して毎日頑張ってるのよ。」紗保里は自分の部屋でダンスの復習をしながら、机の上の3Dみなみんに言った。

「今日は何時に帰ってきたみん?」みなみんは両足を投げ出して座り、紗保里に尋ねた。

「9時かなぁ。それからご飯食べてお風呂入って、今11時でしょ。」

「ふーん。さぼりちゃん、一度最初から全力で踊って見せてみん。」

「へっ?うーん。いいわよ。だいたい覚えたし。」紗保里は曲を最初から再生しなおすと、間違えないように全力で踊って見せた。

「どうだった?完璧だったでしょ。もし間違えようものなら、冴子先輩の鋭い眼光で石にされるから、すごくがんばって覚えたのよ。」得意満面でスキップする人にひょいと足を出して転ばせるみたいに、みなみんは横を向いて「ふっ。」と鼻で笑った。

「な、何よ!いつもいつも失礼ね。どこが不満なのよ。」こみ上げる怒りを抑えきれない紗保里。

「さぼりちゃんのダンスはまだ50%だみん。振りを覚えただけ。」

「振りが全員合ってれば、一糸乱れぬパフォーマンスじゃない。何で50%なのよ。」

「さぼりちゃんは宝塚のビデオを何回も見てるみん?そのダンスとどう違うか考えてみん。」

「顔と、スタイルと・・・。柔軟性と、人に見せるという意識と・・そうか!見てもらうとか、人を楽しませるっていう意識ね。」

「それもあるけど、今回のみなみんの教えは違うみん。教えてほしい?」

「うーん。教えて・・みなみん。」しぶしぶ頼む紗保里。

「では、みなみんの教え19『緊張と弛緩を心がけよ。』
 ダンスはずっと力が入っていると、見ていて疲れるし、がちがちの動きで美しくない。でも、動きが流れてしまうとだらしなくて、これも美しくない。伸びやかにゆるんで流れ、緊張してすっと止まる。これが美しいダンスの動きだみん。1つ1つの動きの流れと止めを意識するみん。」そういって、みなみんは黄色い棒のような手足を動かして踊ってみせた。

30分ほど緊張と弛緩を意識し、スタンドミラーに向かって練習した後「なんか、ダンスが楽しくなってきた。」と紗保里はつぶやいた。

「ダンスは振りを覚えた後、踊り込むほど面白くなるみん。それと、緊張と弛緩は日常生活にも必要だみん。団の練習が終わるのは遅くとも7時30分。それからすぐ帰ってくれば、8時過ぎには家に着くはず。さぼりちゃんはどこかでだらだら弛緩してるから9時になるみん。みなみんの教え2で言ったように、タイムマネジメントしないとだめだみん。」
 
 「はいは~い。もう一回シャワー浴びてくるわ。」紗保里はそそくさと部屋を出て行った。

第21回