みなみんの教え 〜偏差値20アップする魔法の習慣〜 
                                     (作なおみん
)        
毎週木曜更新

人を呪わば・・2

「え?」耳を疑って立ちすくむ紗保里の後ろから「『当たれ』って言ってたろ?」と声が聞こえた。ぎょっとして振り返ると、戦国武将ゲームのイケメン武士のような袴姿の久世彰先輩が腕を組んで立っていた。左の口角を少し上げて微笑んでいる。

1年から見て、3年の先輩は神のような存在である。まして、南高のアイドル的存在である彰先輩は、まぶしすぎて目がちかちかする。

「何でそう言ったかわかるか?」

「わ、わかりません。」

「『はずれろ』と思っても、『当たれ』と思っても相手の射に影響はない。でも、そう思う自分の射に影響がある。相手の射をはずれろと思っていると、当たった時、がっかりする。当たれと思っていると当たっても平常心でいられる。勝負の時に平常心でいることはとても大切だ。それに、勝負の時に後ろ向きになると、萎縮して実力が発揮できないだろ。」

「は、はい!せ、先輩。」耳まで真っ赤になった紗保里に、少し下を向いてくすりと笑うと、彰先輩はそのまま射場に向かってゆっくり歩き去った。紗保里は後姿をドキドキ目で追いながら、あわてて「先輩、近畿大会がんばってください!」と叫んだ。久世先輩は振り返らず、わずかに左手を上げて答えた。

 

「こうよ、こう。キャーかっこいい!!」彰先輩を真似して、後ろを向いて何度も左手を上げて見せる紗保里に、みなみんはあきれて言った。

「もうわかったみん。それより、みなみんなんか大嫌いじゃなかったみん?」すっかり舞い上がった紗保里はげんきんに続ける。

「ごめんねぇ。感情的になっちゃって。みなみんの言うことも一理あったわ。」

「イケメンに言われると、こうも違うものか。で、みなみんの教え聞きたいみんか?」

「聞きたい聞きたい。教えて彰先輩。」

「もう教えてあげないみん。」

「ごめんごめん。教えてみなみん。てへぺろ。」紗保里は右手を頭に乗せて舌を出した。

「てへぺろって、う〜。でも、その言葉を言われちゃしかたない。教えてあげるみん。みなみんの教え13『自分も相手も、ベストの状態で対戦することを祈るべし。』全力で来い、全力で受けて立つと思って勝負すると、モチベーションがベストな状態で勝負できるみん。それは、スポーツだけじゃなくて、受験も、仕事もそう。人の失敗を祈ったり、ずるい手を使って逃げようと考えたりすると、自分の受験も、仕事も上手くいかなくなるみん。自分を伸ばすことより、人のことばかり気になって、どんどん萎縮してしまうみん。この前の球技大会の時みたいに。」

「そうかぁ。球技大会のとき『ボールよ来るな。相手チーム失敗しろ』としか思ってなかったなぁ。いざボールが来ると『嫌だ、ボール来ちゃった』相手がサーブ成功すると『うわぁ入った』って、ショックで動けなかった。」

「人を呪わば穴二つだみん。」

「そうよねぇ〜。って何?」

「下手な乗りツッコミ。何にも知らないみんなぁ。『人に害を与えようとすれば、自分も害を受けることになる』ということだみん。」

第15回