|
はじめに
情報化の進展
高度情報通信ネットワーク社会の進展や国の「e-Japan重点戦略」などを受け,新しいコミュニケーション手段としてインターネットが学校・家庭に広く普及する一方で,保護者の意向あるいは自分自身の意思で携帯電話を持つ子どもが増加するなど,子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。県教育委員会でも学校の情報化を推進するため,平成14年度から高速インターネット環境の整備(教育情報ネットワーク(愛称:ゆずりはネット)),校内ネットワーク整備などを進めてきました。一方その間に,各学校においては,「生きる力」の育成への方法の一つとして積極的にインターネットを利活用する取組が行われています。特に本県では,阪神・淡路大震災の際にインターネット活用が有効な情報交換になったことを生かし,平成16年10月の台風23号による災害時には,県立学校のWebページに生徒の安否に関する情報を掲載し,生徒からの電話や電子メールによる安否確認を行った事例も報告されています。このように,今では情報収集や情報の受発信の手段として,インターネットはなくてはならないものになってきています。
情報化のもたらす課題
このようなインターネットの急速な普及に伴い,有益性だけでなく,その影に潜む危険性についても目を向ける必要がでてきました。インターネット上では,有益な情報とともに有害な情報も多数氾濫しています。そしてこれらの有害情報は想像もできないところまで日常生活の中にも入り込んできており,いつどこで子どもたちがこれらの情報に接触するか予想もつきません。また,インターネットは,情報の発信,受信といった双方向性をもった情報通信手段であり,時空間にとらわれない利便性から教育的活用として大きな可能性を秘めています。しかし,その反面,情報発信,受信に伴う事件・事故などのトラブルに巻き込まれる危険性も高まってきているといえます。例えば,日常生活と異なるネットワーク環境において,見知らぬ人と接する際の礼儀や振舞いから生じるトラブル,作文能力の不足と不適切な文章表現が招く意志伝達の誤解,個人情報の誤った送信など,子どもたちが気付かないうちに人権侵害の加害者や被害者になってしまうことも考えられます。さらに,心身の健康面から,インターネットなどへの過度ののめり込みによる適応障害などの心身の健康への影響,仮想世界から得た情報と現実世界から得た体験との不整合から起きる問題,携帯電話使用時のマナーや電子メール等への依存などの問題や課題に対し,適正な活動を行うための考え方や態度の育成が求められています。しかし,現実には子どもたちがトラブルに遭ったとき,危機回避のために相談できる大人が身近にいないということも課題となっています。
教育の場に求められること
これらの課題に対応することは,学校教育の中でも喫緊の課題であり,保護者や警察などの関係機関と連携して課題解決に取り組んでいく必要があります。また,情報モラル育成は技術革新による高度情報通信ネットワーク社会への移行に伴って,早急に進めなければならない教育課題のひとつです。そこで子どもたちが,新たな情報メディアの利用によって生ずる事件・事故などのトラブルを防止するためには,子どもたち自身が日常生活で求められるモラルに加え,より高い判断力や責任能力を身につけることが必要となります。また,子どもや保護者からのトラブルに関する学校への相談に素早く対処するためには,教職員自身が,情報に対する判断力や処理能力・情報管理能力を高めるとともに,人権意識の高揚を図り,子どもたちに安全な環境で,主体的に情報に接する態度を育成する教育を行っていくことが求められます。そのため,県教育委員会では児童生徒の指導に携わる教職員が,まず情報モラルの育成に向けて研修を深めることを目的とした「情報モラル研修教材」をここに作成しました。校内研修等において本冊子を活用し,各校での情報モラル教育を充実させ,学校の情報化を一層推進していただきたいと考えています。
平成17年3月
兵庫県教育長 武 田 政 義
1. 情報社会における情報モラル教育の必要性
高度情報通信ネットワークの進展により,社会生活が大きく変わろうとしています。その中でも,イ(※)ンターネットは時間や場所に関係なく,個人個人でいつでも情報の受発信ができます。また,インターネット上では,従来接し得なかったような人々とリアルタイムに知り合うことができ,新たなコミュニケーションの場として多くの人々が利活用しています。このようなシステムは,大変有意義な機能であり,多くの人々が利用し,その利便性を得ています。しかし,インターネットの利用者が,すべて善良な人間とは限りません。相手を陥れるのが目的の人,無責任な考えを持った人も多くいます。また,直接会わないため,匿名性・覆面性が高く,偽った情報で作成されたWebサイトなどもあります。さらに,だれでも簡単に情報発信ができることから,有益な情報以外に,不正確な情報,作為的な情報,悪質なデマ,わいせつな情報等も流されている危険性を理解しておかなければいけません。
(1)情報社会の真っただ中に投げ込まれている子どもたちの現状について
現在では,小学校に入る前の子どもたちから大人までインターネットや携帯電話などの情報メディアを活用しています。例えば,小学校理科での「私たちの気象台」などの授業では,気象庁のホームページにアクセスし,リアルタイムで雲の動きや雨の移り変わりを見て,天気が西から東へと移り変わっていくことの学習に役立てています。また,中学校社会科地理的分野の世界の国々のことを学習する単元では,インターネットを利用して自分の興味・関心のある国や,その国の地理について,教科書を補うための情報収集の道具として学習に役立てています。また,教科指導での活用はもちろん,災害時の安否情報の確認などにも活用されています。
1. 子どもたちのメディアの活用実態について
【インターネット利用実態について】(マイクロソフト社 調査平成16年7月 対象小学5年生〜中学3年生400人及びその年齢の子どもを持つ保護者,インターネットによる調査) 
【利用実態について】(ライフメディア社 調査(IMIネット調査)平成16年6月 対象12〜13歳女子,インターネットによる調査)
- 家庭でのインターネット利用率(85%)
- 自分のホームページを持っている(69%)
- インターネット利用開始時期について 小学校高学年(70%) 中学年以下(26%)
- 掲示板利用経験(94%)
- チャット利用経験(94%)
子どもたちのメディアの活用実態と保護者の意識に差があることについては,上記マイクロソフト株式会社MSN事業部が平成16年7月に実施した「ネット社会と子どもたち」と,株式会社ライフメディアが平成16年6月に実施した「小学6年・中学1年の女
児の意識とインターネット利用について」の調査結果では,以上のように報告されています。このアンケート結果を踏まえて,子どもたちはWebページ閲覧に留まらず,自ら情報発信し,知人以外の相手とのコミュニケーションも積極的に行っていることがわかります。
2. 家庭でのインターネット接続について
インターネットや携帯電話などの情報メディア活用により,「人間関係が希薄化する」と言われることが少なくありません。しかし,実際にはこうした情報機器を利用することにより,人間関係がより濃密化,複雑化してきているというのが現状です。これは,子どもたちの間で,情報機器を活用した密度の濃いコミュニケーションが図られていることの表れであり,これらに対する指導が必要となってきています。家庭でのインターネット接続については,日本PTA全国協議会が平成15年に実施した「青少年とインターネット等に関する調査」では,以下のような結果となっています。
○携帯電話等の保有状況

○電子メールの利用状況
○「ネットの知識は子どもの方が上回る」とした保護者の回答

この調査結果によると,中学2年生では3割以上が携帯電話を持ち,5割以上が電子メールを利用した経験があります。また8割近くが自宅のパソコンでインターネットを利用した経験があると報告されています。子どものインターネットの知識については,4割以上の保護者が子どもの方が上回るとしています。また,有害サイトへの接続を阻むフィルタリングソフトを知っている保護者は3割程度であり,約7割の保護者はフィルタリングソフトの存在を知らないとの結果がでています。しかし,このような子どもたちの活用に対して,学校では有害情報を含む危険なサイトへは接続できないようにフィルタリングソフト(詳しくはP5を参照)を導入し,対策を講じています。
※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
(2)ネットの時空間へ教師が関わらなければならない現状について
家庭教育に関する考え方は多様であり,家庭における子どものインターネットや携帯電話の利用について,家族でルールをつくったり,定期的にチェックしたりしている家庭もあり,また中には無防備に子どもに与えているだけの家庭もあります。これらの利用においては,大人よりも子どもたちの方が早く慣れ,インターネット利用に起因する様々な事件の発生や,新たな手口の事件に出会うことも増えてきています。例えば,インターネットのサイトの中には,子どもたちの健全な育成を阻害する情報も多く,有害サイト,チ(※)ャットや電(※)子メールの利用によるトラブルなど,インターネット利用に関係した事件も次々に起きています。
これらの事件については,大人(教師・保護者)も子どもも同時進行で経験しているのですが,特に生活経験の少ない子どもの被害が大きな問題となっています。また,生活上の安全を守るため,子どもたちに持たせた携帯電話やインターネットの利用実態と教師・保護者の意識に大きな違いもあり,悪意を持つ者から子どもたちを守る必要があります。さらに,子どもたちがただ被害に遭うだけでなく,悪意を持たなくとも加害者になってしまうことも考えられます。これらのことから,子どもたちを守るため,教師や保護者が積極的に関わらなければならない現状にあります。
1. 子どもたちが巻き込まれるトラブルとして,以下のことが考えられます。
a) 匿名性・不特定多数とのコミュニケーションによって,悪意を持つ大人と接触する可能性
b) 不適切な情報との接触,架空請求
c) 問題サイトから犯罪への巻き込み
d) コ(※)ンピュータウィルスの感染及び伝染
e) 知っている人同士あるいは見知らぬ相手とのトラブル
f) フィッシング等による被害など
(フィッシングについては,Q&A 付8を参照) |
 |
2. インターネットの急速な発展により,フィッシングという新しいトラブルの手口も巧妙化してきています。そこで,教師は必要な情報リテラシーを身につけるとともに,トラブルの手口をリスト化するなど,保護者や子どもたちに知らせることが望まれています。また,子どもたちが悪意を持つ加害者にならないようにするため,被害者にならないために得た知識を悪用しないことも教えていく必要があります。
3. メール等では,知らない人とのコミュニケーションでのトラブルだけでなく,顔見知りの相手とのコミュニケーションでのトラブルも,現実に起きています。メール等でのコミュニケーションに関するルールやマナーも指導していくことが望まれています。

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
(3)メディアのディジタル化,双方向化,マルチメディア化等の将来性について
今や,場所にとらわれずにパソコンやケータイを手にしてホテルや旅行の予約,銀行口座への振込,コンサートチケットや音楽情報の購入ができるなど,私たちは日常生活のいろいろな面において恩恵を受けています。また,マルチメディア化により,音声や文字だけであった通信手段においても,動画配信による医療機関での利用などが進められ,今後ますます利活用されていくことになります。
しかし,このように,情報技術が向上して便利になった反面,音楽や映像情報の複製といった著作権侵害や,画像処理技術を悪用した偽札づくり等の事件が起きています。また,不適切な内容の情報(アダルト情報等),人権侵害が明らかなWebページや他の人を誹謗・中傷した電子掲示板への書き込みなど,子どもたちの健全育成を阻害するような情報が氾濫しています。そして,今後更に情報機器が高度化するにつれ,巧妙化した新たな事件の発生も予想され,ネットワーク上に一度流された情報は,回収不可能な状態となり,情報だけがネットワーク上をさまよう危険性も考えられます。
また,情報技術の向上の影で,ネットワークを介した事件や犯罪に巻き込まれる子どもたちの数が増加するとともに低年齢化し続けています。これまで事件を起こした子どもたちの中には,ゲーム感覚や罪を犯している意識をもっていないことも問題視されています。ネットワークを介した事件や犯罪では,新しい技術が出るにつれ,新たな問題や事件が生まれてくるのではありません。例えば,出会いの場という意味で考えると,電話の時代に生まれたテレクラが,ネットの発展にともなって出会い系サイトになったり,「不幸の手紙」がチェーンメールになるといったように,情報技術の発達によって従来からあった問題や事件が更に増幅し,深刻化してきたと考えることもできます。
「自由な世界」,「誰でもが等しく恩恵を受けられるネットワーク社会」では,情報リテラシーの向上が必要であることはもちろんですが,日常生活での必要なモラルに加え,携帯電話の利活用をはじめ,情報機器活用にあたっての著作権
の遵守,匿名性を悪用しない情報発信のルールやマナーなど,情報モラルの基本的な考え方を子どもたちに身につけさせることがますます求められてきます。そして,これからのネットワーク社会では利便性と同時にトラブルに対して危機回避できる情報を保護者や子どもたちに十分提供し,全ての教職員が学校教育全体の中で情報モラル教育の基礎となるメディア利用に関する判断能力の育成を図るとともに,直接対話や生身の人間同士の関わりとも連携させながら,「感情のコントロールを身につけさせるための教育等の推進」に努めることが大切となり
ます。
2. インターネット等を利用した情報収集・利用におけるルール・マナー

ネット上では,情報選択能力を身につけていることが求められます。インターネットは,個々人が自らの言動に責任を持って利用することを前提に作られています。その一方で,インターネット上に流れる情報には,犯罪,暴力,性,人権侵害など,違法あるいは不適切なものも数多く流れ,顔も見えず,またそこでかかわりを持つ相手がどのような人かわからないといった匿名性,覆面性をもっており,中には悪意を持って利用している人も潜んでいます。例えば,インターネット社会を高速道路と同じように考えてみましょう。高速道路には多くの標識や標示があります。それらが示す意味や内容を分からない者が,いきなり高速道路に車を持ち込むとどうなるでしょうか。運良く目的地まで無事にたどり着くこともありますが,どんなに危険であるかは容易に想像できます。現在は,だれでも気軽にインターネット社会に参加できる反面,利用にはルールやマナーが必要となってきます。以下に情報選択能力を身につけるためのポイントをまとめます。
(1) 情報収集する際の留意点
1. 情報の信頼性について
- 情報の発信者の信頼性,引用の出所や確認先が明示されているかを注意深く確認すること
- 一つのWebサイトの内容にとどまらず,複数の情報源による対照をすること
- 情報の品質として,5(※)W1Hの要素を含んでいること
- 情報の鮮度として,発信日時等の確認をすること
2. 暴力表現,性表現等(有害情報や違法情報)
- 不適切な表示が出た場合は,すぐにそのページを閉じること
- 暴力表現や性表現のページが出たらすぐに閉じて先生や保護者に知らせること
3. フィルタリングの必要性と利用法について
- フィルタリングとは,児童生徒がインターネットを利用する際,見せたくない内容,与えたくない情報等を含むWebサイトを閲覧できないようにする機能です。
(フィルタリングの基準としては,暴力表現,性表現等から児童・生徒を守るために情報の発信者,引用の出所や確認先が明示されているか等を随時点検します。)
※各家庭にも,フィルタリング機能を設置する必要があります。
※学校では,定期的にブ(※)ラウザの履歴を調査することも必要です。
※Webサイトによっては,情報の有料・無料の確認をすることが必要です。

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。

(2)ネットワークを利用した犯罪に遭わないために
1. 広告・勧誘への対応
・広告ボタンのクリックは,勝手に有料サイトへ接続させる場合があるので注意すること
・安易に勧誘にのらないこと
(デマ情報の場合や個人情報収集目的の場合もあります。)
2. 目的にあった情報選択
・オンラインショッピング
店舗の信頼性確認
「特定商取引に関する法律」の表示義務事項が規定されているか。店舗表示,販売業者名,住所,電話番号,代表責任者名,注文の仕方,代金の支払方法,品物の送り方,トラブル時の対応,価格,送料,支払方法と時期,返品の可否とその条件,プ(※)ライバシーポリシー等が記載されているかなどを確認することが大切です。
支払い方法
代金引換が安心,クレジットカード決済の場合は暗号化システムの採用を確認し,商品が届くまで注文時の登録画面を印刷したものや振込み伝票を保管しておく。子どもたちは,保護者と一緒にショッピングサイトを利用するように努め,なりすましショッピングを未然に防ぐことが大切です。
・ネットオークション
サイトの信頼性を確認(リスクに対する考え方)
取引実績や支払い方法の安全性等の確認
相手とやりとりしたメール,相手の口座番号,振込み伝票の控えを保管しておく。異常な低価格やあやふやな表現がある場合は,取引しない。子どもたちは,保護者と一緒に利用することを勧める。
被害の防止(オークションへの無責任な参加はしない。)
(落札しても支払わない場合は詐欺の加害者となります。)
・デマ情報
情報を鵜呑みにせず,真偽を確かめることが必要
イタズラのつもりが社会問題になる場合もあることを指導することが大切です。
デマ情報によって,多くの人に迷惑をかけたり他者を傷つけたりすると犯罪になります。
※ 警察では,犯罪になれば必ず誰かが責任をとらなければならないため,加害者を決定し,事件として取り扱うことになる。
・無料ダウンロード等への対応
むやみにダウンロードしない。(ダウンロードの目的やリスクが伴うことに要注意)
ス(※)パイウェアが一緒にインストールされることがあります。
(スパイウェアについて,詳しくはP20を参照)
(国際電話等高額の接続料の請求を受ける場合があります。)
・アンケート,抽選・懸賞への応募
回答や応募は慎重に(単なる注意ではなく,プライバシーの保護を参考に考えさせることが大切です。)
必要以上に個人情報を求めているものは要注意(個人情報が悪用される危険性)(身に覚えのない請求が来る場合があります。)
| ポイント |
- ネットオークションやネットショッピングなどは,ゲームでなく現実問題として社会的責任があることを指導していますか?
- 家庭では,保護者の同意のもとに利用するよう協力を呼びかけていますか?
- 簡単に個人情報(自分の名前,住所など)を書き込まないよう指導していますか?
|
(3)著作権について
1. 著作権とは
著作権法は,文学的,学術的及び美術的著作物の著作権の保護を確保し,文学,学術及び美術の発達を助長することをねらいとした著作者の権利を保護する法律です。著作権には,主に以下の権利があります。
・知的財産権(知的所有権)のうち,文化的な創作物(著作物)を保護する著作者の権利
著作権の付与(児童・生徒の作品にも著作権は発生)
・著作者人格権=公表権,氏名表示権,同一性保持権
・著作権(財産権)=複製権,上演・演奏権,上映権等
(他人が無断で○○することを止めることができる権利)
・著作隣接権=実演家人格権,財産権(許諾権と報酬請求権) |
この法律では,教育に携わる者が,教育機関において必要と認められる限度内での複製は例外的に認められています。しかし,使用条件に留意して活用することが大切で
教育活動と著作権(学校における例外措置)
- 教育機関での複製(第35条第1項)
- 教育機関での送信(第35条第2項)
- 試験問題としての複製や送信(第36条)
- 非営利・無料の場合の上演等(第38条第1項)
- 引用のための複製(第32条)
|
 |
授業における複製等として考えられること |
- コピー機や印刷機でプリントしたもの
- 写真を焼き増ししたもの
- スキャナで読み込んだ画面のデータやブラウザで表示した画像をプリントしたもの
- テレビ放送や録画,ビデオをダビングしたもの
- 音楽等を録音したもの
|
2. 学校で配慮すべき著作権
・著作物を複製して教材として利用する場合
指導上必要な公表された著作物について,教育を担当する教員及び授業を受ける児童生徒は,その授業で使用するために必要な最小部数を複製利用することが認められています。しかし,市販のプリント教材や問題集の一部を複製すること(目的外使用)は,販売している企業の利益を不当に害することになるので,著作権の侵害にあたります。
授業での使用目的に録画した放送番組等を視聴することは,学習に必要であれば認められています。しかし,使用後は,録画した内容を消去する必要があります。
・著作物を試験問題として複製し利用する場合
公表された著作物については,入学試験や定期考査に関する試験問題を作成する場合においては,著作者の許諾を得ずに利用することができます。しかし,著作物の題名や著作者名を問う設問以外の場合は,出所を明示しなければなりません。また,使用に当たっては,著作者の意に反するような内容の改変はできません。
3. 電子メディアを用いたコミュニケーション場面におけるモラル

子どものちょっとしたいたずらが大変なことに

この事例をお読みになって,どんな問題があると考えますか。電子メールは,郵便に比べ即時性があり,調べ学習での疑問点や質問などを専門家や各種団体に発信して学習を深めることができたり,海外の学校との交流など学習のツールとして活用されたりしています。このように,学習活動や日常生活において,インターネットや携帯電話などの情報メディアは,生活上での利便性から多くの人が利用しています。しかし,インターネットや携帯電話を利用した電子メールや電(※)子掲示板,チャットなどは,直接の対話と違い匿名性,覆面性を利用し,悪意を持って利用している人もいます。また,基本的には,文字が中心のコミュニケーションであり,表情や声の調子までは伝わらないため,ちょっとした言葉の受け取りかたの違いによるトラブルや誤解が生ずることもあります。また,人間同士のコミュニケーションでの会話であることを忘れ,感情のコントロールを失ってしまうこともあり,その使い方のバランスやモラルを教職員が理解した上で,子どもたちに利便性だけでなく危機回避の方法についても伝え,情報を処理(吟味等)する能力を高める教育が求められています。
(1)メディアを用いたコミュニケーションへの心構え(ネチケット)
1. メディアをコミュニケーションとして活用するために知っておきたいこと
- ネットワークの先に相手がいることを意識させることが大切です。
(ネットワーク上のエチケット=ネ(※)チケット)
- 通信相手を信頼し思いやりをもって接することが基本となります。
(1対1或いは複数対1等の通信形態に応じた交流や,文化的・社会的な環境の差を理解させることが大切です。)
- 利用する機器や技術的な環境の差を考えさせることも必要です。
(自分だけが持っているア(※)プリケーションで作成したデータの送信や,送付先の相手に断りもなく大容量のデータを送信しないようにさせることが大切です。)
2. 挑発的な内容への対応(フレーミングの予防)
不愉快な内容の電子メールは相手にしないことや,挑発的な言葉を投げかけられても応じない冷静さが必要です。また,見知らぬ人から送られてきたメールの添付ファイルは開かないこともなども指導することが大切です。

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
(2)電子(携帯)メール で,トラブルを起こさないために
1. ネットと実際のコミュニケーションとの違いから
会話のように気軽に楽しむことができますが,会話と違って文字だけによる通信メッセージがどのように相手に受け取られるかには十分に注意が必要です。
2. メールのマナーについて
メールアドレスを入手しても,直接に連絡をとるべき相手かどうか判断することが大切です。また,メールを作成する際は以下のことに気をつけることが大切です。
- 題名(タイトル)のつけ方………その内容が一目でわかるような簡潔なものにする。
- 電子メールの文章の書き方………字と字の詰め方,行間の取り方が自由にならないよう,段落ごとに一行空けたり,きりのよいところで改行したりするなどの工夫が必要。
- 宛先のメールアドレスを確認する習慣をつける。………電子メールでのアドレスは,送信する前に必ず確認する。
メールの本文を書くときやメール発信するときに気を付けること
- 短く簡潔であるよう心がけ,要点を一つに絞って書く
- 受信したメールや他のWebページなどの引用は必要最小限にとどめて,文章が長くならないように気をつける
- 初めて電子メールを送る相手には,まず自己紹介をする
- 電子メールの末尾には署名(発信者の名前と連絡先)を簡潔に書き添える
- 相手を尊重するよう心がける(人権の尊重)(誹謗・中傷,人権侵害に陥らないよう注意深く言葉を選ぶ)
- 知人の個人情報を勝手に送信しない(必要な時は必ず本人の承諾を得る)
- 友達から届いたメールの内容を勝手に公開しない(転送の際は必ず差出人の了解を得る)
- 他人のメール内容を改ざんして転送しない
- 他人になりすましたメール送信はしない
|
3. 送信場面で気を付けること
・TO,CC,BCCの特徴と活用法
宛先(TO:)一般的に用いる宛先
カーボンコピー(CC:)誰に送信したかを表示して一斉送信する際に用いる。
ブラインド・カーボンコピー(BCC:) 誰に送信したかを表示せずに一斉送信する際に用いる。
・メールのサイズ
電子メールのサイズに注意を払うことが大切です。
(メッセージや添付ファイルのサイズが大きい時は,相手先に了解を得てから送信する。)
ファイルの添付方式はメ(※)ールソフトに依存するので,事前に確認すること。
・絶対に秘密にしておきたい情報は,メールで送信しないようにする。ネットワーク管理者や,不正アクセスのユーザーによって読まれてしまう可能性がある。
・個人情報等を送信する場合は,暗号化するなどの自衛手段をとる。
・根拠のない「うわさ話」を,友達などに送信しない。
ごく親しい友人などから受け取ったメールでも,確証のない伝聞情報やうわさ話はそのまま流さない。善意のつもりで流しても,結果的に重大な悪影響をもたらし,場合によっては損害賠償を請求されることもある。(例:○○銀行が倒産するので預金は早く引き出した方がよい,×月×日にテロがおこなわれる,△月△日にマグニチュード7クラスの大地震が発生する,等々。いずれも実際に流れたもの)
4. 受信場面で気をつけること
- 定期的に電子メールが届いているかどうか確認する。
- 受信ボックスの容量を超えないよう不必要な電子メールはメールボックスから削除する。
- 送信した電子メールに対して,すぐに返事がこないからといっていらいらしない。
- 重要な電子メールを受け取ったらすぐに,受信したことをすぐに返信する。
5. その他迷惑メールについて
・スパムメール
スパムメールはそのまま削除する(苦情やメール差し止めの返信をしない。自分のメールアドレスなど,個人情報を知られてしまう恐れがあります。)
・チェーンメール
チェーンメールは他人に送らず,すぐに削除する。
(特に,ネズミ講は,法律で禁止されています。)
・ウィルス付メール
見知らぬ差出人からのメールは開かない。
(特に添付ファイルがある場合はすぐに削除する。)
(3)携帯電話(ケータイ)を利用する際の基本的なルールとマナー
公共交通機関を利用すると,必ずといってよいほど携帯電話に関するマナーについての放送が流れてきます。しかし,そうした放送を聞いていても老若男女を問わず携帯電話を使っての通話を行っている人がいます。ますます技術的に進化する現代の携帯電話は,今や電話だけでなくメール,カメラ,テレビ,音楽が聴けるなどの機能を備え,“ケータイ”と呼ばれるようになりなりました。新しいメディアとして現代生活の中での必需品となってきている証拠でもあります。こうした機器の進歩は,便利な生活をもたらしますが,活用に当たっては,社会生活の中でのモラル,そして個人の良識が求められています。そのため,学校教育において情報リテラシーの向上とともに,情報モラル教育をどう進めていくかが課題となってきています。そこで,以下に基本的なマナーとルールについてまとめました。どのように個人の情報モラル育成を進めて行くかが今後の学校の情報化に当たっての課題ともなります。
1. 携帯電話(ケータイ)を利用する際の基本的なルールとマナーについて

2. 利用する際に起こるトラブル
・コミュニケーションツールとしての適正な活用法
友だち関係に縛られてしまうこともあることを指導すること
電話やメールのやりとりする時間帯等の配慮が必要であること
・出会い系サイト・有害情報等への対処
出会い系サイトで入力した個人情報が悪用されるケースがあること
援助交際などの犯罪につながる危険が潜んでいること
18歳未満に利用させたサイト運営者,保護者も責任を問われること
「出会い系サイト」から事件となっていること
(ケータイが約97%,被害者のうち18歳未満の児童・生徒が約80%(H16上半期警察庁調べ))

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。 (4)便利で有効な情報交換のために
電子掲示板,チャット,メ(※)ーリングリストの活用にあたって留意すべきことがあります。 インターネットを介した電子掲示板やチャットなどのコミュニケーションでは,誰もが自由に出会える場であり,従来なら知り会うことがなかった人とのコミュニケーションを楽しめる場として多くの人々が利用しています。しかし,電子掲示板やチャットを開設しているサイトの中には,子どもたちにとって不適切な場として,犯罪に関する不適切な情報のほかにカルト信仰などの社会の安全を脅かす情報交換の場であったりするものもあります。
また,電子メールを多数の決められた人に一度に送信できるメーリングリストなどでは,特定の個人にしかわからない話題について,多数の人がその話題に参加し,個人間の個人攻撃の文章や感情的な文章,誹謗・中傷といった文章などが流され,人権侵害の事件となっていることもあります。以下のことに気を付け,情報発信をする必要があります。
- 参加にあたっては運営方針を尊重し,その場の雰囲気をこわさない。
(関係ない話題や特定の人しかわからない話題は控える。)
- 題名(タイトル,サブジェクト)は,内容が一目でわかるような簡潔なものにする。
- 発言には責任を持つ。
(誹謗・中傷,名誉毀損,人権侵害に陥らないよう注意深く言葉を選ぶ。)
- 運営方針等に示されたルールに則って発言する。
- 一方的な書き込みにならないよう注意する。
(コミュニケーションを行う相手の存在を常に意識し,TPO(Time,Place,Occasion)に応じてメッセージのやり取りを行う。)
- 多様性(価値観の相違,宗教,文化,政治的信条,あるいは作品やアーティストの評価など)を認める。(トラブルになりそうな時は,しばらくその場を離れる。)
- 初心者の失敗には寛容に対応する。
- チャットは匿名性の高い情報交換の手段であり,ネットストーカー等の犯罪に発展するリスクが伴うことを理解しておく。
- ネットで知りあった人に不用意に会うことは危険を伴うことを理解しておく。
- メーリングリスト,掲示板等を運営する場合は,ルールや管理者の権限を明確にしておくとともに,責任を持つこと。
|

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
4. Web公開における発信者の責任
インターネット上のWebページには,学校のものだけでなく,教育行政機関などのもの, 民間企業等によるもの,個人のWebページ等多くのWebページが公開されています。それらの中には,インターネット上でも日常生活と同じようにいろいろなルールやマナーがあるにもかかわらず,自由奔放に情報公開をしているページもあります。個人のWebページであっても情報発信の責任が伴うことはいうまでもありません。特に,学校や教職員の個人のWebページには,一般社会人以上に責任を問われる場合があります。Webページの公開にあたっては,次のことがらに十分留意する必要があります。 また,自分のWebページを公開する子どもも多くなってきていることから,トラブルを含めて責任を自覚するように指導することが必要です。
(1)Web公開目的の明確化
1. 公開目的を明確に
IT環境の充実に伴い,Webページを公開する学校が増えてきています。インターネット上に教育活動に関する情報を公開し,保護者や地域社会の理解や支援を求めていくことは,「開かれた学校づくり」を推進していく上でも有効な手段です。また,修学旅行等のタイムリーな情報は,保護者の関心も高く,人気のある情報発信です。このように学校Webページの役割は,学校の様子や学習の成果,地域学習に役立てる電子化した情報等の掲載など,今後ますます重要になってくると予想されます。そのため,まず学校Webページとして,「誰に向けて,何のために,どのような情報を,どの程度」公開するかを十分検討し,その上で公開する必要があります。
2. 情報発信に伴う責任の明確化
発信情報については,正確性を確保し,個人情報の保護,著作権の遵守,人権の尊重などの見地から適切なものでなければなりません。Webページの運用・管理にあたっては,掲載情報や内容の取扱い等に関しての転記ミスや事実とのくいちがいが生じないようにすること,各学校での規定,ガイドラインを整備するとともに,Webページ上に公開して情報発信に伴う責任を明確にしておくことが望まれます。各学校の実状に応じた規定やガイドラインなどを作成する際に参考となる資料として,平成9・10年度兵庫県インターネット利用推進協力者会議が「インターネット利用のガイドライン」を作成しています。以下のURLから参照できます。
http://www.hyogo-c.ed.jp/kenshusho/guide/
(2)Web公開でのルール・マナーと留意点
1. 著作物の使用について
以下に例示する情報は著作物として取り扱われますので,Webページに公開する場合は,必ず著作権者に了解を得る必要があります。
【著作物の例】
○インターネット上で,他で公表されているWebページや電子掲示板,新聞,雑誌などの文章,写真,音声等。
○テレビやビデオから取り込んだ画像やデータ
○芸能人や著名人の写真や,キャラクターをまねて描いた絵等
○他人が作成したソフトウエアやそれを改変したプログラム
○音楽や唄の歌詞またはCDなどから取り込んだデータ
○他人の電子メールの内容
・児童生徒や教職員の作品にも著作権があります。作品を掲載するときは,本人及び保護者の了解を得ることが必要です。学習の成果として児童生徒の作品を掲載する際には,十分に注意を払う必要があります。
・複製した著作物をホームページに公開する場合は,改めて著作権者の了解を得なければなりません。
・他人の著作物を引用として掲載する場合は,引用部分と本文を区別し,著作物の題名や著作者名等出所を明示するなど取扱いに注意を払う必要があります。
・使用に際して許諾を取らなくても良いとする著作物(いわゆる著作権フリー)といわれる作品についても利用範囲や条件等が設けられている場合がありますので,使用に当たっての文面を詳しく読み取る必要があります。
2. 顔写真の掲載について
・顔写真を掲載する場合は,プライバシー保護の見地から,集合写真等,顔がはっきり識別できない写真を使用するなどして,個人が特定できないようにする必要があります。
・教育上の必要性から顔や容姿がわかる写真を公開する場合でも,無断で公表することは肖像権の侵害にあたります。必ず本人と保護者の了解を得る必要があります。
・特に,有名人等の場合には,肖像そのものがもつ経済的価値を保護するパブリシティ権が関係してくるので注意が必要です。経済的利益を侵害しなくとも,本人の許諾がなければ侵害になるというのが一般的です。学校行事などに来たときの有名人の写真においても,本人の了解が得られれば掲載には問題がありません。

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。 3. 個人情報の保護について
・Webページに児童生徒や教職員の個人情報を掲載するにあたっては,まず,それを掲載することが教育目標を達成する上でぜひ必要かどうか検討する必要があります。また,掲載する場合でも,本人および保護者の同意を必ず得て下さい。
・Webページに掲載した個人情報は,その目的が達成されたと判断される時点で掲載を止めるようにして下さい。また,学期毎や定期的に見直すなどの配慮が必要です。
・Webページ上の文章,児童生徒の作品などの作者名はできるだけ掲載しないようにして下さい。イニシャルまたは無記名にするなどの配慮が必要です。また,ファイル名やフォルダ名も個人が特定できないものにするなどの注意が必要です。
4. 人権の尊重等について
・Webページに特定の人の人権を侵害したり,組織,団体等を誹謗・中傷したりするような内容を掲載しないよう十分指導する必要があります。
・不正確な情報を掲載しないよう注意する必要があります。
5. その他
・学校のWebページで営利を目的とした物品の売買は禁止して下さい。ただし,学習活動の一環で,学校Webページを利用して物品の売買や交換をする場合は学校の裁量に任されています。なお,児童生徒が勝手に行わないよう指導することが必要です。
・誤解をまねくような商標,ロゴ,組織名などの使い方をしないよう指導することが必要です。
・有害情報や営利を目的としたWebページ,政治的または宗教的宣伝のためのWebページへのリ(※)ンクは行わないよう注意することが必要です。
・他のWebページにリンクするときは,そのリンク先が他人のWebページであることを明示することが必要です。
?

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
(3)その他の留意点
1. 学校のWebページ公開について
・Webページの著作権を主張するため,トップページにその旨を明記する必要はありません。逆に,特にリンクされて困るときは,その旨を明記しておいた方がよいでしょう。
・生徒が作成した情報をWebページに掲載するときは,不適切な内容や表現がないよう十分点検が必要です。
・Webページの情報は常に最新のものにするよう心がけるとともに,必ず更新日付を明示するようにすることが必要です。
・公開された情報に不備があるとの指摘を受けた場合には,真偽を確かめ素早く対応することが大切です。また,特定の者が見ると個人が特定されるケースも見受けられるので,十分注意する必要があります。
・学校Webページの公開に伴うルールを作成し,すべての教員の共通理解を得る必要があります。また,担当教員だけが関わるのではなく,学校全体としての組織作りが必要です。
2. 個人のWebページ公開について
・個人的に開設したWebページには,学校の名前を用いて情報を掲載することや職務上知り得た情報を掲載することはできません。地方公務員法の守秘義務に抵触することになりますので,十分注意することが必要です。
・Webページに掲載する文章については,私的な意見と学校の公的見解を混同しないよう注意が必要です。
・児童生徒が個人的に開設したWebページにおいても,学校の名前で情報を掲載したり,学校生活で知り得た他人の情報や他人を誹謗・中傷する内容を掲載したりすることは許されない行為であることを指導する必要があります。
Webページ公開でのルール・マナーについてのWebサイト
文化庁「著作権 〜新たな文化のパスワード〜」
http://www.bunka.go.jp/
「インターネットを利用するためのルールとマナー集」財団法人 インターネット協会
http://www.iajapan.org/rule/
「社団法人 日本音楽事業者協会ホームページ」
http://www.jame.or.jp/syozoken/genrl_mainB.html
「インターネット利用のガイドライン 」(改訂版)平成 9・10年度兵庫県インターネット利用推進協力者会議
http://www.hyogo-c.ed.jp/kenshusho/guide/index.html
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/houritsu/index.html
5. 学校での情報や児童生徒を守るために
最近では,インターネットに起因する様々な事件が起こっており,新たな手口の事件も増えてきています。ネット上に潜む悪意を持つ者から,児童生徒や学校の大切な情報を守るために,次のことに十分配慮することが必要です。
(1)人間関係や心身の健康に関する問題
1. ネットワーク上での人間関係(コミュニケーション)の特性
インターネットを使うことで人間関係が希薄化するのではないかという危惧がよく取り沙汰されます。しかし,これまでの社会学や心理学にもとづく調査研究を見る限りにおいて,それを肯定するような結果はあまりみられません。むしろ問題が生じやすいのは,より一層コミュニケーションが密になったり、対面の状況とネット上のコミュニケーションとが多重化し交錯していったりすることにより,友人どうしの関係性が複雑化することです。
情報の伝達がスピーディーになっていく反面,落ち着いて考える余裕がなくなることで,いわゆるフ(※)レーミングが起こりやすくなったり,ネットワークをめぐりめぐって思わぬ陰口や悪口が伝わってきたりすることがあります。また,メール交換や掲示板・チャット等でのやりとりのちょっとした行き違いから大きな誤解が生まれ,関係が険悪になることも少なくありません。
したがって,こうしたトラブルを防ぐには,相手をむやみに傷つけたり,不快な思いをさせたりしないために,一層冷静な対応が求められます。 また,出会い系サイトなど,見ず知らずの相手とのコミュニケーションで生じるリスクなどもよく指摘されますが,これも適切な対応で回避することは可能です。
2. 健康への影響
・インターネットに熱中するあまり,日常生活や健康に悪い影響を及ぼすことがあります。これは,「ネット中毒」あるいは「ネット依存症」といわれています。例えば,夜遅くまでインターネットをすることにより,昼夜が逆転し,友達とも接触せず,家の中に引きこもってしまう事例も見られます。自分の生活を第三者の視点で振り返らせ,自分でネット利用の時間を減らしていくよう指導する必要があります。
・長時間パソコンを操作することにより,視覚異常や筋肉症状など,いわゆるVDT障害を引き起こすことがあります。健康を損なわないためには,部屋の照明の明るさや照明がパソコンの画面反射しない角度などの作業環境を整えるとともに,正しい作業姿勢や適度な休憩をとることなど,正しい作業習慣を身につけることが重要です。
・コンピュータ使用に伴う病的な精神症状をテクノストレスといい,テクノ不安症とテクノ依存症に分別されます。テクノ不安症は,コンピュータを扱うのが苦手な人がストレスを感じて体調を崩してしまう症状であり,動悸,息切れ,肩こり,めまいなどの自律神経の失調や,うつ状態を引き起こします。また,依存症は,コンピュータに没頭しすぎることで現れる症状で,コンピュータがないと不安に感じたり,人付き合いを煩わしいと感じたりする症状のことです。予防策としては,自分の生活を見つめ直し,物事の優先順位やコンピュータとの関わり方を正しく判断した上で,生活のリズムをコントロールすることが必要です。

※クリックすると研修教材から事例を詳しくご覧いただけます。
(2)個人情報の保護,プライバシーの尊重
1. 個人情報保護の重要性
・個人情報については,人権尊重の理念に基づき,慎重に取り扱わなければなりません。特に,学校で取り扱う個人情報の中には,児童生徒の成績データなど漏えいすればプライバシーを著しく侵害するデリケートな情報などもあります。厳重な注意を払う必要があります。
・また,最近では,学校で扱う個人情報漏えい事件として児童生徒の名簿,成績等のデータを記録したノートパソコンの盗難や,通信簿の紛失などが報道されています。個人情報が保護されることは,心身共に成長期にある児童生徒にとって大切な問題であり,教職員と児童生徒及び保護者や地域と学校との信頼関係を失墜させる等多方面に影響を及ぼすことがあります。
【個人情報とは】
個人に関する情報であって,氏名,生年月日その他の記述又は個人別に付された番号,記号その他の符号,画像若しくは音声により当該個人を識別できるもの(当該情報のみでは識別できないが,他の情報と容易に照合することができ,それにより当該個人を識別できるものを含む)をいいます。
【個人情報の例】
氏名,生年月日,身長,体重,血液型,住所,国籍,家族構成,病歴,障害の有無,趣味,特技,児童生徒の学年,組,番号,所属クラブや教職員の役職,学年,担任クラス,教科,顧問クラブ,校務分掌など |
2. 学校で扱う個人情報
法令等により学校が備えている書類にも,個人情報が記載されているものがたくさんあります。例えば,以下の内容があります。


3. 個人情報を含むデータの管理
個人情報を含むデータの管理については,漏えいを防止するために以下のような対策が必要です。
○ 個人情報を含むデータは,インターネットや外部のネットワークに接続したコンピュータ上に保存しない。また,個人情報を含むデータを処理する場合は,ネットワークから切り離したコンピュータ上で行うことが必要です。
○ 個人情報を含むデータは,リムーバブルメディア等に保存し,鍵のかかる場所に保管する。(鍵の開閉に伴う管理や,データの使用についても記録することが必要です。)
4. その他
マスコミ等に,在籍児童生徒や卒業生の個人情報や作文等が公開されるケースが時おり見られます。情報を公開することによって,公開された相手に何らかの不利益や危害が及べば,法的な責任を問われることになりかねません。
卒業生等が,卒業アルバム等から情報を提供することも考えられます。この場合も,責任を問われることになります。これらのことについても指導する必要があります。
(3)身近な情報セキュリティ
大切な情報の漏えいするのを防ぐだけでなく,コンピュータウィルス等の脅威からコンピュータやネットワークシステムを守ることも大切です。次に示すものは,ネットワークを利用する上で最低限必要な対策です。すべての教職員が十分配慮することが大切です。
1. I(※)Dとパスワードの管理
・IDやパスワードを絶対に他人に教えないようにしましょう。また,人目につくところにメモをすることも止めましょう。もし,知られてしまった場合は,すぐに変更するべきです。
・パスワードを設定する際は,容易に解読されないように,数字やアルファベット,記号等の無作為の組合せとし,定期的に更新することが大切です。
・パスワードの不正使用は犯罪になります。たとえ知っていてもそれを使って,無断でネットワークへ接続しないよう指導する必要があります。
・IDやパスワードの貸し借りをしないようにする指導も大切です。
2. コンピュータウィルス対策
・コンピュータウィルスに感染すると,内部のプログラムやデータを勝手に削除したり,書き換えたり大きな被害を受けます。また,メールに勝手に添付され,ネットワークを介して多くの人にばらまかれ被害を拡大するものもあります。ウィルスの特徴やどのような被害を与えるかなど基本的な知識を身につけるとともに,適切な対処をおこなう必要があります。
・ウィルスの侵入を防ぐためには,以下のことを徹底しましょう。
○ウィルス対策ソフトをインストールするとともに,常に最新の対策ソフトに更新する。
○見知らぬ差出人からのメールや添付ファイルは開かない。
○添付ファイル等を開く際は,必ずウィルスチェックを行う。 |
3. セキュリティホールの修正
・セキュリティホールとは,O(※)Sやアプリケーションソフトの設計ミスなどによって生じた,システムのセキュリティ上の弱点を指します。放置しておくと,悪意のあるユーザーに不正にコンピュータを操作されてしまう可能性があります。また,ネットワーク上の「踏み台」とされ,不正アクセスや不正なメール配信がおこなわれることにより,知らないうちに加害者となる可能性もあります。
・セキュリティホールを修正するには,OSやアプリケーションソフトのメーカーのWebページ等に公開されている修正プログラムをインストールする必要があります。
4. ネットワーク上での情報漏えいの防止
・スパイウエアとは,パソコンを使うユーザーの行動や個人情報などを収集し,得られたデータをマーケティング会社などの作成元に送るアプリケーションソフトです。無料のソフトウエアとセットで配布されたり,ホームページを閲覧するだけで侵入したりするものがあります。ウィルスのように感染や破壊活動をすることはまずありませんが,収集した個人情報が悪用される可能性も考えられますので,注意が必要です。
・Cookie(クッキー)とは,Webサイトを閲覧した際,そのサイトが利用者のパソコンに作成するテキストファイルのことです。氏名,電子メールアドレス,自宅または勤務先の住所,電話番号などの個人情報も保存できます。しかし,このCookieは正しく使用されれば便利な機能ですが,その反面,悪意のあるWebサイトなどの場合,記憶された情報をそのサイトの運営者が意図的に流用するケースもあり,他人が大事な個人情報を盗む際の手段ともなりうることがわかりました。対策としては,以下のようなことが考えられます。

(4)トラブル発生時の対応
1. 保安上の問題などが発生した場合に備えて
迅速に対応できる組織作りや手順をあらかじめ定めておくことが大切です。
どのような問題かを分別し,学校としての対応を考えましょう。
ア 何が問題なのか(困ったこと,嫌なことは何か)
イ 何を,どのようにしていたか(操作の手順や状況)
ウ 何を指導すべきか(指導,注意,再発防止など)
エ 対処すべき相手は誰か(校内,保護者,外部機関など)

2. ウィルスに感染した場合
ウィルスに感染した場合は,一時的にシステムを停止させたり,感染したコンピュータをネットワークから切り離したりする措置をとり,ウィルスを除去しましょう。
3. 校内だけで対処できない場合
校内だけで対処できない場合は,必要に応じて教育委員会や警察へ連絡して下さい。混乱を避けるため,外部への対応は窓口を一本化することが大切です。扱いが微妙な問題や法的な知識が必要な場合は,専門家のいる相談窓口に相談することが大切です。
○学校教育の中での情報モラルに関する相談窓口
・情報モラル教育サポートデスク(県立教育研修所情報教育研修課)
(0795)42−3104
・県教育委員会企画調整担当課長(情報教育担当)
(078)362−3779
○ネットワークを介したトラブル等に関する相談窓口
・県警(生活安全情報
http://www.police.pref.hyogo.jp/seikatu/frame.htm
・サイバー犯罪対策係(078)341−7441内線3032
・警察なんでも相談 (078)361−2110(プッシュ回線,携帯電話,PHSの方は#9110)
○ネットショッピング,特定商取引法などのトラブルに関する相談窓口
・消費生活センター
http://www.kokusen.go.jp/map/
・県立神戸生活創造センター消費者生活相談窓口
(078)360−0999
http://www.sozoc.pref.hyogo.jp/soudan/seikatsu/shohi.index.htm
・インターネット消費者被害対策弁護団
http://www1.neweb.ne.jp/wb/licp/
4. インターネット上の不適切な情報

インターネット上のホームページや掲示板に学校や在籍児童生徒等に関する不適切な情報が掲載されている場合の削除依頼は,次のように行います。
(5)発達段階に応じた情報モラル教育
教育課程への位置づけ(道徳,特別活動,総合的な学習の時間との関連づけ)が必要です。例えば,発達段階に応じたカリキュラムの作成にむけ,「学習指導要領」や「学習指導要領解説編」等には,以下のように示されています。
1. 小学校での位置づけと取り扱い

情報モラルの指導にあたっては,学校全体として意図的・計画的に行っていく必要があります。そのため,まず子どもたちの実態を把握し,個人情報の取り扱い,著作権,誹謗・中傷,セキュリティ,ネチケットなど,情報モラル指導に必要な項目を整理して具体的な指導内容を発達段階に応じて指導することが大切です。

(6)家庭との連携
情報モラルはこれまで保護者が学んだことのない概念・知識を含むため,当面は学校が中心となって指導を行っていく必要があると考えられます。家庭・保護者との連携においては,学校でどのような情報モラル指導をしているのかを知らせ,理解や協力を得ながら進めることが大切です。
1. 児童生徒の利用実態と保護者の意識のズレ
児童生徒のインターネットの利用実態のうち,自分のWebページを公開しているケースがあります。このことに関しては保護者が知らない等,意識が低いようです。また,携帯電話の利用実態についても保護者のねらいとズレが生じていることが指摘されています。まず,ズレが生じている実態を把握し,保護者に事実を伝えた上で,連携を進めていくことが大切です。
2. インターネットや携帯電話の使用についての啓発
・学校だよりなどを家庭や地域に配布することにより,インターネットや携帯電話の活用について学校で指導できること,できないことを明らかにしていく必要があります。
・情報モラル育成に向けた資料を作成し,家庭や地域社会におけるインターネットや携帯電話の使い方やセキュリティ対策,様々なトラブルに巻き込まれないための対策を紹介することも重要です。
3. 児童生徒の様子の変化は要注意
・生活のリズムの乱れや人間関係の変化等ネット中毒やテクノストレスの兆候と思われる症状が見られたときは,家庭にも協力を依頼し,児童生徒の様子を観察しましょう。
・コンピュータやインターネットの利用が原因である場合は,家庭の協力を得ながら生活のリズムがコントロールできるようサポートが必要です。また,必要に応じて養護教諭やスクールカウンセラー等に相談しながら対応を進めましょう。
4. トラブルに巻き込まれたら
トラブルに巻き込まれたと相談を受けた場合は,必要に応じて適切な相談窓口を紹介しましょう。
5. 冷静な対処も必要
マスメディアで報じられる新たな事件などのニュースには冷静に対応するよう呼びかけましょう。新たな事件や社会現象については,インターネットやケータイが関係したと報じられても,社会的,心理的な現象に関しては,そう簡単に因果関係がわかるものではなく,一概にインターネット等が原因と特定できるものではないことを理解してもらう必要があります。
6. 授業実践事例
県教育委員会では,平成16年度県立高等学校3校を「県立学校情報モラル研究モデル指定校」として,情報モラル育成に向けた先進的実践研究を進めてきました。
各研究校では,情報モラル推進委員会を設置し,年間カリキュラムの作成,生徒・教職員等への情報モラルに関する実態調査,教科「情報」以外での他教科における情報モラル教育の在り方などを研究してきました。以下に,代表的な実践事例を紹介します。
(1)年間カリキュラムについて(A校の例)
月 |
内 容 |
教科・科目 |
4月 |
|
|
5月 |
情報モラルについての意識調査 |
情報A |
6月 |
セキュリティについて |
情報A |
7月 |
著作権とコピーについて |
音楽 |
8月 |
消費者問題と情報モラル |
現代社会 |
9月 |
著作権と情報モラル |
情報A |
10月 |
文章表現と情報モラル |
国語 |
11月 |
電子メールのルール&マナー |
HR |
12月 |
情報モラルについての意識調査(変化) |
HR |
1月 |
情報発信と情報モラル |
情報A |
2月 |
1年間のまとめ |
各教科 |
3月 |
主に1年生を対象に指導 |
|
|
(2)情報モラル研究授業について(B校の例)
テーマ:知的財産権 1年 教科「情報C」 |
目 的:夏季課題で収集した新聞記事をもとに,「情報社会の光と影」というテーマで班別のプレゼンテーションの制作活動に入るが,著作物としての新聞の扱いの観点から知的財産権について整理する。また,生徒自身の著作権に対する認識を調べるとともに,生徒自身がもつ著作権についても考えさせ,正しい手続きによって利用の許諾請求することについても触れる。 |
時間 |
指示・説明 |
備考 |
0 |
ログオンの確認
前回の記録を回収。今回の記録を配付。
担当者から本授業の説明 |
・パスワード忘れは再発行手続き |
5 |
著作権について生徒の意識を書き出させる
・著作権と聞いて,まず何を思い浮かべるか?
・自分自身が著作権を侵害した経験はあるか?それはどのようなものか?
・何が問題なのか?
・自分は著作権者であるか? |
・ワードプロセッサで項目ごとに記述させる |
15 |
討議(グループ)
・6人のグループでお互いの意見を読みあい,まとめる |
|
25 |
代表者による発表 |
・要点の整理 |
35 |
いくつかの事例について,可否を判断させる
・利用者の立場で
・著作者の立場で |
・ワードプロセッサで項目ごとに記述させる |
| |
討議(グループ)
・6人のグループでお互いの意見を読みあい,まとめる
・許諾を得る方法 |
|
|
|
(3)校内研修について(C校の例)
|
内 容 |
備 考 |
第1回 |
情報リテラシー研修及び情報モラル研究について
内容:ワープロソフト,表計算ソフトの活用
生徒,教職員へのアンケート調査について |
全教職員対象
|
第2回 |
情報モラル研究について
内容:アンケート結果に報告
著作権について |
全教職員対象
|
第3回 |
情報リテラシー研修及び情報モラル研究について
内容:教師用コンピュータと校内ネットワークの利用
個人情報等の管理について |
全教職員対象
|
|
校内研修の反応
【教職員からの感想】
- 「個人情報」の扱いについては,ディジタルデータの保管場所等に留意し,外部に持ち出さないなど,自分自身を守るためになると理解できた。
- 書類を廃棄する際に,古紙回収にする分と内部廃棄するものとの分別を心がけるようになった。
- 研修会等を通じて,未知の世界(インターネット)を知ることが出来た。特にチャット・掲示板の利用方法と生徒の活用実態について,自分の生活圏外のこととはいえ,新たな世界を知ることが出来てよかった。
- 教材を作成する際に,「著作権」に留意し教材研究を心がけるようになった。
- 教科の垣根を越え,モラル・ルールの指導に向けた教職員のモチベーションを高め,指導の強化を図る必要がある。
- データを共有している本校の現状を踏まえた上で,作成者の意図を理解し,常に「倫理観」を教職員一人一人が持ち,取り組む必要があると感じた。
(4)情報モラル研究指定校の生徒の反応
- インターネット上での「個人情報」の扱いについて,十分気をつける必要があることが理解できた。
- ID・パスワードの管理をもっとしっかりすることが必要だと感じた。
- 普通に友達と話すには通話よりもメールの方がより早く伝えられるし楽しくできると思う。
- また,何かのトラブルがあった時は,メールよりも通話の方が早く伝わると思う。全体的に携帯電話はどこに行っても役立つことがわかりました。しかし,近年では出会い系サイトやカメラ付きでの悪質な盗撮が急増し,苦情が数多くでており今後,改善すべき点だとも思いました。
- 情報モラルが身近なものとして理解できた。

おわりに
モラルやマナーは元来、日々の生活の中で育まれるものであり、一人ひとりの人格を構成する重要な要素です。それと同様に、情報モラルは、情報社会におけるその人その人の人間性を浮かび上がらせるものなのだといえます。したがって、情報モラルもまた、初めのうちは日常の場面において機会あるごとに意識し、繰り返し実践し、指導を積み重ねることによって、一人ひとりの生活の中で定着させていく必要があります。 古来より、新しい情報技術が社会の中に受け入れられるたびに、さまざまな摩擦が引き起こされてきました。しかしながら、その多くは誤解や先入観に由来するものであることが少なくありませんでした。
そもそも、ある情報メディアそのものが危険なものであったり、害悪をもたらしたりするものだというわけではありません。それらは、使う人びとの意識や人間性をより際立たせるものにすぎないのです。すなわち、情報メディアは社会や人間の鏡であるということができます。
以上のことをよく理解した上で、注意深く接していけば、今後、この教材の中で取り上げられていないような、新奇な出来事に遭遇したような場合でも、けっして恐れおののいたりする必要はありません。短絡的に原因を決めつけず、状況をよく見きわめることによって、きっと問題を解く道は開けるはずです。それに向けての第一歩として、この教材を十分に活用されることを願ってやみません。
委員を代表して 岡
田 朋 之
(引用・参考文献)
- 「青少年とインターネット等に関する調査の結果報告書」,社団法人日本PTA全国協議会
- 「ネット社会と子どもたち」,マイクロソフト株式会社MSN事業部
- 「小学6年・中学1年の女児の意識とインターネット利用について」,株式会社ライフメディア
- 「情報教育の実践と学校の情報化」新「情報教育に関する手引き,文部科学省
- 文部科学省委託事業,「情報モラル指導事例集」,財団法人 コンピュータ教育開発センター
- 独立行政法人 教員研修センター,「情報モラル研修教材」,財団法人 コンピュータ教育開発センター
- 著作権法入門(平成16年度版),社団法人 著作権情報センター
- 文部省,「中学校学習指導要領 解説 −総則編−」,東京書籍
- 文部省,「高等学校学習指導要領 解説 −情報編−」,開隆堂出版株式会社
|