24.DNA抽出

[目的]DNAを抽出して観察する。抽出したDNAを確認する。
[材料・薬品・器具]
 魚の白子 食塩水 エタノール SDS溶液(界面活性剤 ラウリル硫酸ナトリウム)
おろし金 ガーゼ 酢酸オルセイン溶液
[準備および操作]
A.DNAの抽出・精製
1)冷凍した白子をすりおろす。
2)食塩水にSDS溶液を溶かしたものを加え、攪拌し、ガーゼでろ過する。(タンパク質と核酸を分離)
3)ろ液を100℃で5分間湯煎する。
  (タンパク質の熱変性)
4)冷却後、重ねたガーゼでろ過する。
5)ろ液をよく冷やし、エタノールを静かに加える。
6)ろ液とエタノールの境界面にできる白い沈殿をつまみ取り、別のビーカーに入れ、食塩水を加えてよく溶かす。
7)再び湯煎し、ろ過する。(精製)
8)ろ液を冷却し、エタノールを加える。
9)ろ液とエタノールの境界面に白雲のような沈殿が生じる。ゆっくりと取り出す。(抽出)
 
 
 
  
B.DNAの確認
1)DNAを少量の食塩水に溶かし、ろ紙に文字を書く。
2)酢酸オルセイン溶液を文字の上にたらす。
3)ろ紙ごと熱湯につけ脱色すると、DNAが赤く染まり確認できる。
 
 
[留意点・工夫点]
牛のレバー、鶏のレバー、たまねぎ、ブロッコリー、などを冷凍して使うとよい。
材料・薬品・器具はすべてよく冷やして使用する。
ろ過する際、ろ紙のかわりに三角コーナー用不織布を使うとよい。
試料を多くする、ガーゼでしっかりと搾る、など純度より収量を多くすることを念頭において実験するとよい。
SDS溶液が無いときは台所用洗剤を数滴加えてもよい。レバーの場合は何も加えなくてもよい。
操作2のとき、ろ過前の試料がプリプリしたゲル状であることを確認する。
1〜2mol/lの食塩水がDNAを良く溶かすので食塩水濃度は1mol/lより下がらないように気をつける。
最後のエタノール沈殿の際はできるだけ静かに混ぜる。
精製のため食塩水に溶かすときには、エタノールが残っているとうまく溶けない。
染色液は酢酸オルセインの他に酢酸カーミン、エオシンY、メチルグリーン・ピロニン、シッフの試薬が用いられることもある。
遠心分離器・クロロホルムを用いても簡単にDNAを抽出できるが、高度な機材を用いたり、危険な有機溶剤を使用しなければならない。
材料により操作が多少異なっており、また実験書によっても操作が異なっているので、自分で試してみて良い方法を探ることが望ましい。