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 家に魚(らしきもの)が来てはや一週間が経った。

 魚(らしきもの)を陸の上で飼っていいのか正直疑問を浮かべていたのだが、この魚(らしきもの)は

幸いなことにバケツに水を入れてその中に放り込んでおけばぴちぴちと異様に跳ねまくっているのでよ

しとする。

というより、何故か空に浮かんで行動しているので一瞬魚のクセに、と突っ込みそうになったが世界は

広いんだしこの際どうでも良いという意見に落ち着いた。

 そして次に餌の心配だったのだが、魚(らしきもの)と言うことで、半分泣きながら糸ミミズを調達して

きたのに見事に投げられた。箱を、空に。

 その後絶叫が部屋の中に響き渡ったのはいうまでも無い、ついでラーシスが魚(らしきもの)を殴って

大喧嘩バトルが開始されたのも言うまでも無い。

 その後落ち着いてから魚(らしきもの)をその場に放していると、ふぃ〜と外に出て行きもしゃもしゃと

木の葉を食べ始めた。さっきの苦労は一体と悲しくもなったがいちいちそんなことでへこんでいても仕

方が無いので適当に葉をちぎって食わしてやる。

 餌はこの後の実験結果により、結構雑食なことが判明。たいていのものは食べられるらしい。肉・野

菜・木の実等。海産物も食べていたのだが、魚を食べていたときは一瞬「・・・共食い」と心の中で呟い

た。「だって、ねぇ・・・・」と。

  

   

 そんな風に日々が過ぎていき、ふとあることに気が付いた。

「お前さ」

「ぴち?」

 答えるように跳ねる。

「名前何がいい?」

「ぴちぴち?」

 そうなのである。名前を付けるのを忘れていたのである。

「う〜ん・・・・・」

 顎に手を置いて頭をひねる。こういうものに名前を付けるのはとことん苦手なので、正直本当に今ま

での人生でこんだけ悩んだことがあるのだろうかと思うぐらい悩んだ。

「ぎょ・・・」

「きゅ!!」

 どげしとしっぽアタックが顔に直撃した。

「じゃあ、どらエ・・・・」

「きゅきゅ!!」

 ぱくりはいけません。

「シジ−ル★山・・・・」

「きゅ!!!!」

 意味不明です。しかも間の星は何だという話です。

「ストレイト・クー・・・・」

「ぱしぱし!」

 某人が怒ります。そして密かに魚(らしきもの)も衝撃の〜と言っていたのも無視します。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

 ネタ切れ。

「じゃあさ、「あお」は?」

「きゅ?」

 この子を初めて見た時に抱いた感想。

 キレイな蒼色。

「どう?」

「きゅきゅ♪」

 どうやら喜んでくれたらしい。お互い(たぶんあおもそう)にこにこ顔を笑みでいっぱいにする。

  

 そうしてあおと私の生活は過ぎていった。

  

  

   

―――――――END

 

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